南米の雄・チリが初のコンフェデ杯決勝へ 国内ではメディア、サポーターが大熱狂
欧州王者ポルトガルを破り、決勝進出を決める
PK戦で3人のキックを止め、決勝進出に大きく貢献したブラーボ。試合後にはチームメートから胴上げされた 【Getty Images】
「やったぜ! チリがPK戦の末、クリスティアーノ(・ロナウド)を擁する欧州王者とレフェリーを破ってファイナルへ進出した」(『ラ・テルセーラ』)
「歴史的なチリ――世界大会で初めての決勝戦だ」(チリ版『エル・グラフィコ』)
2大会連続でコパ・アメリカを制し、南米の雄となったチリだが、年代別代表チームも含めて、今回のコンフェデ杯が世界大会で初のファイナル進出となったのだ。
チリは並々ならぬ闘志を見せて、このコンフェデ杯を戦ってきた。高い技術と戦術眼をベースに、全員が良く走り、激しく戦う好チームのチリだが、やはり長いシーズンの終盤ということもあり、後半に入るとパフォーマンスが下がる傾向がある。
それでも、そこでもう1回ギアを入れ直して貴重なゴールを決めてきたのが、今大会を戦うチリである。ポルトガル戦は無得点のまま120分間を終えてしまったが、延長後半、最後の力を振り絞って猛攻を仕掛けたのは、ポルトガルではなくチリの方だった。
サポーターも今大会で唯一、大応援団を形成してロシアに乗り込んできている。
「僕たちにとっては初めてのコンフェデ杯なんだ。だからチリ国民は、どんな大会かと興味を抱いている。コンフェデ杯に出られることを、僕たちは本当に誇りに思っているんだ」。グループリーグで出会ったチリサポーターは、そう語っていた。ポルトガル戦ではアディショナルタイムに入ると、カザンに集まった観衆たちがチリに肩入れし始め、スタジアムは「チーレ! チーレ!」の大合唱に包まれた。
4年連続のタイトル獲得へ、天下を取る覚悟で挑む
16年のコパ・アメリカ・センテナリオを制したチリ。目指すのは4年連続のタイトル獲得だ 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
「今から言うURLを打ち込んでごらん」と彼が言う通りにタイプすると、チリのテレビ局のウェブサイトが開き、そこには代表チームの決勝進出を祝って、チリの首都・サンチアゴのイタリア広場に集まる国民が歓喜に酔いしれる姿が映し出されていた。
「国内はものすごい盛り上がりだよ。これはまだ決定したわけではないけれど、サンクトペテルブルクの決勝戦にはミシェル・バチェレ大統領も応援に来るんじゃないか(笑)」
チリ国民が胸に秘めているのは、ビッグイベントにおける4年連続の優勝だ。
「チリは15年、地元開催のコパ・アメリカで初優勝すると、翌16年のコパ・アメリカ・センテナリオでも優勝した。今日の勝利で、今度はコンフェデ杯制覇にあと1勝と迫った。この大会で優勝したら、チリは来年のワールドカップ(W杯)でも優勝候補になるだろう。
アルトゥーロ(・ビダル)、アレクシス(・サンチェス)の世代に“ウィナーズ・メンタリティー”を植え付けたのが(マルセロ・)ビエルサだった。ビエルサの時代、チリはタイトルを取れなかった。
(クラウディオ・ボルギ監督を挟んで、ホルヘ・)サンパオリ監督の下でタイトルを取ってから、チリは殻を破り今はどの試合も勝ちたいという気持ちに満ちている。ビエルサから今の(フアン・アントニオ・)ピッツィ監督まで、ずっとサッカーの志向が継続しているのがチリの強さの秘密だ」
サッカー界のスタンダードから見れば、しょせんコンフェデ杯。しかし、チリはサッカー界の天下を取る覚悟でコンフェデ杯に挑んでいるのである。
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