錦織圭・独占インタビュー(後編) テニスは30歳まででいいと思っていた

構成:スポーツナビ

現在27歳、プロ10年目のシーズンを迎えた錦織圭はどんな未来図を描いているのか 【写真:坂本清】

 負けず嫌い、練習熱心、向上心が高く、テニスのために心血を注ぐことができる人。
 錦織圭の練習拠点・米国フロリダ州のIMGアカデミーで彼を知る人たちからは、そんなキーワードが挙がる。それらの言葉からは天賦の才を持つ男の、テニスに真摯(しんし)に向き合う姿が浮かび上がってくる。

 13歳でテニス留学のために渡米し、17歳でプロ転向。以来10年間、毎週のように世界中を飛び回り、わずかなオフシーズンにはスポンサー回りやイベント出演をこなすなど、まさにノンストップのテニス人生を歩んできた。ツアー優勝11回、グランドスラム準優勝1回、世界ランキングは最高4位という華々しいキャリアの陰には、数々の苦悩があり、多くの犠牲も払ってきたに違いない。

 そのツアーの合間、4月にIMGアカデミーで行われた独占インタビュー。聞き手を務めたプロテニスプレーヤーの佐藤文平は、15年来の旧友として、そんな仲間の奮闘を見続けてきた一人でもある。

 インタビュー後半戦、2人の話題は錦織の将来像へ。テニスにすべてを捧げてきた27歳の本音が見えてきた。(取材日4月12日/文中敬称略)

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「人生テニスだけで終わっても……」かつて抱えた思い

かつて描いていた自らのテニス人生は、今思う将来像とは少し違っていた 【写真:坂本清】

佐藤文平(以下、佐藤) プロに転向したころは「何歳ごろまでにこうなりたい」といったビジョンはあった?

錦織圭(以下、錦織) うーん……あったかなぁ。でも、何歳までに、みたいなのはそこまでは考えられていなかったかな。

佐藤 2020年の東京五輪がパッと決まったけど、まさか現役中に東京で来るとは思ってなかったよね。

錦織 確かに(東京五輪を迎える)30歳はちょっと大きな節目ではあるかな。30までにという思いは……30までに自分の納得いく結果は出しておきたいというのはあるかも。

あえて2人の時はテニスの話をしないという佐藤(右)。錦織の言葉に真剣に耳を傾けていた 【写真:坂本清】

佐藤 でも、(ロジャー・)フェデラーは35歳までやっていることについてはどう思う? 圭は35歳までやるイメージはある?

錦織 いや、本当のことを言うと昔は30歳ぐらいでいいかなと思って。人生1回だし、他にやりたいことも出てくるかもしれないとか、(テニス以外のことも)したほうがいいんじゃないかと思って。

佐藤 テニスオンリーではなくということ?

錦織 「人生テニスだけで終わってもね」という思いもあったけど、今はできるだけ、ケガをするまではやりたいなと思っている。

佐藤 ちなみに圭は今、テニスのために米国にいるけど、(今後)日本に帰ろうと思うことはある?

錦織 日本に住むということ? テニスが終わればあり得るかも。それは将来やりたいことや仕事によってだけど、おそらく日本のほうが住みやすいから。理想は(日本と米国で)半々ぐらいがいいかな。

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