錦織圭・独占インタビュー(前編) 冷静に見据える世界1位との距離
リラックスムードで行われた錦織圭の独占インタビュー。世界の第一線で戦う27歳の胸中に迫る 【坂本清】
ツアーの合間、錦織は自身初のマスターズ優勝、そして悲願のグランドスラム制覇を目指して、この時期をトレーニング期間に充てていたのだ。練習を終えた錦織は、ジリジリと肌を刺す日差しを避けるように施設内のプールサイドにあるレストランへ。ここで、「スポーツナビ」の独占インタビューを受けることになっていた。
インタビュアーは、プロテニスプレーヤーで解説者としても活動する佐藤文平。4歳年下の錦織とは15年以上の付き合いで、かつてヒッティングパートナーを務めたほか、プライベートでは食事や買い物を共にするなど親交が深い。
錦織とは15年以上の親交がある佐藤文平(右) 【坂本清】
気を取り直して佐藤が再び口を開く。何気ない会話をするかのような自然な流れで、インタビューが始まった。(取材日4月12日/文中敬称略)
「1位はまだあまり見えない」
現在の世界ランキングは9位。錦織は1位との距離を冷静に見ている 【坂本清】
錦織圭(以下、錦織) まだまだ先は長いなと。
佐藤 4位から1位までが長いということ?
錦織 1位はまだあまり見えないですね。
佐藤 そこからの方が近いようで遠い……本当に過酷な世界だよね。
錦織 1年を通して常にマスターズで優勝しないといけないし、まだグランドスラムもマスターズも獲っていないから。
ツアー11勝を数える錦織だが、メジャータイトルはまだ手にしていない 【坂本清】
錦織 ハハハッ。そうね、まずは獲りたいかな。
佐藤 (1月の全豪オープンを制したロジャー・)フェデラーではないけど、半年間休んで、世界ランクが17位まで落ちても実力があればタイトルが獲れるというようなこと?
錦織 うん、フェデラーはちょっと別格だけどね。
佐藤 毎週ランキングは変わるよね。たとえばトップ10にいる中での8位、7位といった変動はあまり気にしないと思うけど、実際はどう? トップ10にいることはもう難しいことではない?
錦織 今のところは。トップ10を外れたらちょっと焦り始めるかもしれないけど、(ランキングは)ほぼ気にしない。1年の最後に(ランキングの)どこにいるかだから、最後に上のほうにいられればいいかなと。