錦織圭・独占インタビュー(後編) テニスは30歳まででいいと思っていた

構成:スポーツナビ

“世界ナンバーワンプレーヤー”になるために

近づくほど険しい頂点への道。だからこそ、錦織は冷静に目の前の課題と向き合う 【写真:坂本清】

 錦織の言う「納得のいく結果」。その一つが悲願のグランドスラム制覇であることは間違いないだろう。2014年の全米オープン準優勝以来、周囲の期待は高まる一方だが、当の本人は冷静沈着を崩さない。今シーズンの目標は「マスターズ優勝」と「常にトップ5にいること」。全米準優勝という実績を考えれば、グランドスラム制覇も期待されるが、それは錦織自身がクリアすべき課題を明確に捉えられていることの裏返しではないか。

 錦織が考える世界トッププレーヤーのイメージはどのようなものなのか。その答えに、多彩なショットと抜群の対応力でその階段を上ってきた男が目指す、テニスの理想形が見えてきた。

決して多弁ではないが、厳しい世界で戦い続ける錦織の一言一言に重みが感じられる 【写真:坂本清】

佐藤 圭が考える“世界ナンバーワンプレーヤー”はどんな選手かな? たとえば「テニスが強い上にジェントルマン」とか、いろいろなタイプがあると思うけど。

錦織 やっぱりフェデラーのイメージはあるけど、この何年かの(ノバク・)ジョコビッチの強さは尋常じゃない。ああいう全くミスしないようなテニスも最強だし、フェデラーみたいにどんどん攻めていくような、また違った強さもあると思う。

佐藤 僕が言うのは本当におこがましいけども、その両方のテニスができるのが、圭の強さだよね。速いテンポでもプレーできるし、後ろでスローペースでやることもできる。

錦織 うーん、まぁ理想はそうね。

佐藤 理想に近いテニスが最近できるようになってきたというのは、要するに圭が目指してきたオールラウンドに近づいたということなのかな? しかも圭はサーブアンドボレーを要所で混ぜる。ああいうのを入れたい時に入れて、それが成功しているという感覚はある?

錦織 そうだね。(サーブアンドボレーの)成功率は50%以上だと思うけど、いろいろなプレーも混ぜながら、やっぱり変化をつけていきたいとは思うよ。

最後は満面の笑顔でインタビューは幕を閉じた 【写真:坂本清】

 真剣に、時に笑いをまじえて膝を突き合わせた2人。錦織が「才能があって、自分にないものを持っている人」と評する佐藤に、最後に錦織の魅力について聞いた。

佐藤 日本テニス界は「錦織圭」という男に常に新しい世界を見させてもらっていて、言うまでもないけども日本のテニス界、もっと言うならばアジアや世界のテニス界において最も貴重な存在。年上とか年下とかは関係なく、自分が最大限にリスペクトする選手だけど、オフコートの時はちょっと抜けているところもあるし、そういうところが僕としては魅力です。僕自身はリスペクトしているけれど、(圭は)普通に気さくに話してくれる。そんなところを、僕は最大限にリスペクトしています。(得意顔で)どやっ!

錦織 ハハハッ! 「どやっ!」でもう、全部台無しだよ(笑)。


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5月20日(土)〜6月24日(土)毎週土曜日AM10時配信

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