シーズン序盤の不安を払拭した福島千里 世界を見据え「そろそろ標準目指す」

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女子200メートルを制した福島千里(中央)。女王の強さを見せつけた 【写真は共同】

 スタートからの勢いを保ったまま、最後の直線でも力を抜かずに走り切った福島千里(札幌陸協)。その表情には、安堵(あんど)にも似た笑みが浮かんでいた。

 陸上の日本グランプリシリーズ第4戦となる静岡国際陸上競技大会が3日、静岡・エコパスタジアムで開催され、女子200メートル決勝では、同種目の第一人者である福島が23秒91で優勝。8月に開幕する世界選手権ロンドン大会の参加標準記録(23秒10)には届かなかったものの、2位の今井沙緒里(飯田病院)に0秒30の差をつけ、“女王”の強さを見せつけた。

予選と決勝を走り切れたことに手応え

「まずは無事にゴールできてよかったなと思います」。レース後、福島の第一声は、優勝を喜ぶというよりも、不安を払拭(ふっしょく)できたという安心感の方が勝っていた。

 福島の今シーズン国内初戦は、4月29日に行われた織田記念国際陸上の女子100メートルだった。しかし、予選のスタート直後に、両ふくらはぎにけいれんを起こし途中棄権。今後のことを考え「大事を取った」という選択肢ではあったが、1週間も間隔がない中で行われた200メートルのレースに、不安がないはずはなかった。

 織田記念の棄権について、福島はこう振り返る。

「数少ないレースの中でしっかり結果を残していきたいところで、目標が1回とんでしまったのは残念なこと」

「結果を残したい」という気持ちが強い理由には、立場の変化も影響しているのだろう。今年の1月、これまで所属していた北海道ハイテクACを退団し、プロとしての活動をスタート。最初の取り組みとして、3月には米国でのレースに参加し、国内初戦に向けて着々と準備をしてきたつもりだった。

 それでも織田記念では、過去2年と同様に足のけいれんで棄権。静岡でも同じことが続いたら、今までとまったく変わらないシーズンインとなってしまう。

「不安がなかったと言えばうそになりますけど、しっかりその不安を、走り切って克服できたということがまず一つです。世界選手権を目指している私にとってはとても低いレベルだと思うのですが、しっかり一つ一つできることを積み重ねていきたいなと思います」

 福島にとって今回200メートルを2本走り切れたことは、昨年よりも「いいスタートが切れた」ということと同意義なのだ。

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