ケンブリッジ飛鳥、新シーズンへ意気込み「結果を求められるシーズンになる」

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新シーズンを迎えるケンブリッジ飛鳥にインタビュー 【(C)NIKE】

 昨夏のリオデジャネイロ五輪、日本勢のクライマックスとなったのが陸上競技の男子4×100メートルリレー決勝。日本チームは山縣亮太(セイコーホールディングス)、飯塚翔太(ミズノ)、桐生祥秀(東洋大)が好位置でアンカーにつなぎ、最後はケンブリッジ飛鳥が、“世界最速の男”ウサイン・ボルト(ジャマイカ)と競り合いながら2位に入り、銀メダル獲得という快挙を成し遂げた。

 リオでの大きな舞台を経験し、12月にはプロ転向を発表したケンブリッジ飛鳥。今年2月にはスポーツメーカー・ナイキと契約し、活動の環境を着々と整えながら、さらなる成長が求められる新シーズンを迎える。

 今回はケンブリッジ飛鳥に、2016年の振り返りと、新シーズンに向けての意気込みを聞いた。

ケガの回復を確信しさらに自信を深めた

昨年の日本選手権では山縣(左)、桐生(右)らを抑えて男子100m初制覇となった 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――昨年末にプロ宣言し、プロとしての新シーズンを迎えます。2月にはナイキとの契約を結び、環境を整えているところかと思いますが、ここまでの準備はいかがですか?

 練習も順調に来ています。(コンディションも)まったく気になる部分がなく、この冬はしっかり練習をこなせました。

――改めてプロとして1年目のシーズンを迎えるにあたり現在の心境は?

 プロになって、今までより結果を求められるので、結果を残していかないといけないと思っています。ただ、やることは正直これまでと大きく変わりません。トレーニングをしっかり積み、レースに向けて準備を進めるだけです。

――昨シーズンは社会人1年目。5月の東日本実業団で自己ベストとなる10秒10を記録し、日本選手権の男子100メートルでは初優勝を飾りました。昨年を振り返ってみて、いかがでしたか?

 自信はあったのですが、ずっとケガが続いていて、シーズン当初はそこが心配でした。15年まではレースで1本走っただけで足が痛くなることが続いていましたが、昨年は(4月の)織田記念国際で2本走っても足が痛くなかったということから、さらに自信も深められましたし、そこからは順調にシーズンに入れました。

――ケガが続いていた時期にトレーニングを変えたりしましたか?

 最後にケガをした後は、走るといってもジョギング程度。あとはリハビリ程度だったので、まずはしっかり足のケガを治すことに努めました。

――ケガをされる前の14年にはジャマイカに渡って練習もされています。そこでの経験で変化はありましたか?

(ジャマイカで)1番は体の強さの違いを痛感しました。トレーニングについていくのがいっぱいで、自分ももう少し体を大きくして、世界トップの選手たちに負けないぐらいの体を作っていかないといけないと思い、そこからウェイトトレーニングも本格的にやるようになりました。帰ってきてからは、当時で大体5キロ、6キロ体重が増えました。

――それまではウェイトトレーニングをどうとらえていたのですか?

 それまではウェイトをやらなくても少しずつ体が成長していて、体も大きくなっていたので、まだ大丈夫なのかなと考えていました。その成長も少し止まってきた段階で考え始めていたのですが、ちょうど(ジャマイカに)行ったタイミングが良かったのかなと思います。

1年先輩の山縣に「勝ちたいという気持ちが強かった」

ライバルたちの動向が刺激やモチベーションになり、良い波に乗ることができた 【(C)NIKE】

――昨年は自己ベストも更新し、それがリオ五輪の参加標準記録を切るタイムでした。そのことで気持ち的な変化はありましたか?

 タイムはそれほど気にならなくて、織田記念国際の後、向かい風のレースが続き、なかなかタイムが切れなくてモヤモヤしていた部分はありました。ただ「条件さえ整えばタイムはいずれ出る」と思っていたので、それを切ったことで何かが変わったということはありません。ただ日本選手権前に切れたというのは、余裕を持って日本選手権に臨めるきっかけになりました。

――そして日本選手権では初優勝を飾りました。現在の日本短距離界はまさしく群雄割拠という状態ですが、1歳上の山縣選手、2歳下の桐生選手というライバルの存在は? 

 大学を終えてから桐生選手と一緒に走ったのは1度しかなく、山縣さんとは大学時代に何度も走っていたのですが、勝てたことがなかったので、やはり勝ちたいという気持ちが強かったです。日本選手権の時は、調子も良く波に乗っていたので、チャンスはあるなと思っていました。

――2人のことは意識していた?

 やはり自分が出なくて、2人が出るレースは気になりましたし、常に情報をチェックしていました。それがいい意味で刺激にもなったし、モチベーションにもなりました。
 特に山縣さんとは走る機会も多かったので山縣さんの方に意識が向いていたと思います。

――山縣選手とケンブリッジ選手では走るスタイルも正反対な印象です。山縣選手の走りで参考になっている部分はありますか?

 参考にしようかなと思った時はあるのですが、やっぱり全然タイプが違うので、山縣さんの動きをやろうとしても、僕にはできないかなと。

――自分は自分のスタイルを追及してきたと?

 そうですね。

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