石島雄介と越川優の転向は起爆剤となるか ビーチバレーの現状と東京五輪への道筋

ビーチバレーに転向する石島(左)と越川。彼らはなぜ今ビーチを選択したのか 【坂本清】

 3月26日、今季のVリーグの総決算となる「2016−17Vリーグオールスターゲーム」において、豪華なメンバーたちがコート上で、2人の選手の新しい門出を祝った。

 胴上げで宙に舞ったのは、若きころから全日本の一員として世界と戦ってきた石島雄介と越川優。低迷していた全日本男子チームを16年ぶりに五輪出場へと導いた「北京五輪世代」の中心選手である。そんな2人は、「偶然、新しい目標が見えたタイミングが一緒だった」(越川)とこの春、時を同じくして戦いの舞台をビーチに移すことになった。

 なぜ、彼らは今ビーチバレーボールを選択したのか。そして、新たなフィールドでは目標を達成できるのか、その可能性を追った。

なぜ、ビーチなのか?

越川は「東京五輪がなかったら、ありえない決断でした」と語る 【坂本清】

 転向組のキーワードは、20年の東京五輪である。ビーチバレーボール競技は、男女各24チームが出場。男女1チームずつの開催国枠を含め、最大で男女2チームずつが出場できる可能性がある。

 越川は言う。「東京五輪がなかったら、ありえない決断でした」と。「出場」をかなえるのであれば、権利を獲得しなければならない他国開催の五輪と比べると、確かにハードルは低いだろう。

 さらに3年という残された時間についても、越川は「バレーボールの技術では負けません。砂や風という環境において早く慣れることができれば、勝負できると思っています」と前向きにとらえている。

 堺ブレイザーズ時代から、夏はローカル大会やトップ大会に推薦枠として出場し、ビーチに慣れ親しんできた石島は、転向した理由をこう語る。

「当時は、転向することはまったく考えていませんでしたね。やっぱり、最初にバレーボールをやると決めたからには、やっぱり最後までやり切りたかったので……。でも、いろいろ環境が変わっていく中で、ビーチにシフトするほうが自分のためになると決断しました。ビーチは、自分が目標にしている東京五輪の出場条件が明確ですし、そこで結果を出せばいけると思いました」

石島(左)は堺ブレイザーズ時代からビーチの大会に出場していた 【坂本清】

 インドアの代表は、国内大会の結果を参考に日本バレーボール協会所属の監督やスタッフによって選出される。選手は、そこで選出されなければ、いくら日の丸を背負いたくても代表の舞台に立つことさえできない。

 一方、ビーチバレーボールの出場規定は、石島が言うように明確である。

 代表選手として選出されなくても、国内大会において結果を残し規定のポイントを獲得していけば、五輪予選に相当するFIVB(国際バレーボール連盟)主催のワールドツアーに出場することが可能だ。

 また、世界選手権やアジア大陸予選、五輪最終予選で成績を残せば五輪に出場することができる。ビーチバレーボールは、チームスポーツながらも、個人競技に近い実力主義の競技。これこそが、石島と越川がビーチバレーボールに可能性を感じたゆえんだ。

日本協会が描く東京五輪へのビジョン

東京五輪でメダル獲得を目指すためには、トップカテゴリーへのランクアップが必要となる 【写真:ロイター/アフロ】

 公益財団法人日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業本部(以下、日本協会)は、東京五輪に向けて、新たな強化方針を選手および関係者に発表した。日本代表の強化の統括を務める桐原勇人副本部長・ビーチバレーボール強化委員会委員長は、東京五輪へのビジョンについてこう述べる。

「われわれが目指すのは、開催国枠での『出場』ではなく、『メダル獲得』です。五輪予選が始まる19年からコンスタントにいい成績を上げ、前年にはメダルが狙える位置にいなければなりません。東京五輪の出場規定(正式決定はFIVBの発表に準ずる)は、オリンピックランキング(国際大会のポイント)の範囲によって出場枠を取り扱うことを打ち出していますので、選手にとって指標になると思います。もし、日本チームが世界のトップレベルにいなければ、最終的に上位6チームで代表決定戦を行い、開催国枠を決定する方向です」

 今年からFIVBが主催する国際大会は、獲得ポイントなどによる5段階のカテゴリーに分けられた。日本チームは、各チームともに保持ポイントが低いため、男子は「カテゴリー2」、女子は「カテゴリー3」に該当する大会に出られるか否かのラインにいる。19年ごろにはトップカテゴリーで上位の成績をたたき出しているくらいでなければ、メダル獲得は夢物語で終わってしまう。

 そして、日本チームの実力が世界のトップレベルに及ばなければ、最後の代表決定戦で「オリンピアン」の権利を争うことになる。一発勝負となれば、石島や越川のような3年程度の経験値、もしくはそれ以下の経験値でも、身体能力の有無とパートナー次第では勝てるチャンスは十分にあるだろう。

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著者プロフィール

ビーチバレースタイル/2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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