石島雄介と越川優の転向は起爆剤となるか ビーチバレーの現状と東京五輪への道筋
石島と越川が起こす化学反応への期待
桐原氏は石島ら(右)が起こす化学反応に期待を寄せる 【坂本清】
日本協会は、ビーチバレーボール先進国のロシアやオーストラリアで指導した経験を持ったイタリア人のテクニカルディレクター、フィジカルトレーナーの2人と、女子の強化スタッフとして契約を結んだ。
「基本的に各チームのコーチは選手たちが選ぶことができるシステムですが、希望するチームは協会の強化スタッフが指導するという新しい仕組みを導入しました。その狙いとしては、各選手に責任感や競争意識を持たせつつ、日本の指導者が今までトライしていないこと、新しいことを取り入れて、日本全体の底上げを図りたいという狙いがありました」(桐原氏)
昨今の厳しい状況を考え、日本協会の強化の中枢部は石島と越川の転向に早くも期待を寄せられている。
「石島と越川については、これまでのインドアやVリーグでの実績を踏まえれば、大きな新戦力として見込まれます。日本協会としても期待していますし、これからビーチで起こる化学反応は未知数ですが、大きな可能性を感じています」(桐原氏)
転向する2人の思い
2人の転向はビーチバレー界にどんな影響を与えるか 【坂本清】
現在はJTに所属し、周囲に惜しまれながらも6月から本格的にビーチで活動していく越川は、こんなプランを掲げている。
「インドアでまだまだできると思ったからこそ、ビーチにきました。あくまでもイメージですけれど、早く世界に追いついて、3年後は最低でも日本のトップクラス、東京五輪以降は世界で勝てるような選手になることを描いています」
これまでインドアの国際大会やV・プレミアリーグ優勝を経験してきた石島は、すでにインドアとビーチの違いをひしひしと感じている。
「環境面ではインドアに比べたら、選手が競技に専念できていないという不安も感じます。それを払拭(ふっしょく)していかない限り、今後ビーチをやりたいと思った選手たちの将来につながりません。だからこそ、インドアから転向する僕と越川が、ビーチにきやすい環境を作って示していきたい」
08年に五輪出場という「ゴール」(目標)を達成し、歴史を塗り替えた石島と越川。ふたたび新しい「ゴール」への道を切り開くため、日本ビーチバレーボールに変革を起こすことができるのか、今後に注目していきたい。