【記録と数字で楽しむセイコーGGP2024】男子110mハードル:日本歴代1・1・3・5位が集結!12秒台の可能性も

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

5月19日(日)に国立競技場で行われる「セイコーゴールデングランプリ陸上 2024 東京」。
現地観戦やTV観戦のお供に特に注目される種目について「記録と数字で楽しむGGP2024」をお届けする。
なお、原稿の締め切りの関係で、2024年シーズンの試合結果や情報は4月15日までに判明したものしか盛り込めていないことをお断りしておく。

・記録や情報は、4月15日判明分。
・年齢は、2024年5月19日現在のもの。
・文中、敬称略。

※リンク先は外部サイトの場合があります

【男子110mハードル】日本歴代1・1・3・5位が集結! 12秒台の可能性も

個人のトラック種目で「世界のメダル」に日本人が最も近い種目だろう。
日本記録を保持する泉谷駿介(住友電工/自己ベスト13秒04=2023年)と村竹ラシッド(JAL/13秒04=2023年)、日本歴代3位の高山峻野(ゼンリン/13秒10=2022年)、同5位の野本周成(愛媛陸協/13秒20=2023年)の現役トップ4が顔を揃える。

パリ五輪参加標準記録13秒27を有効期間の2023年7月1日以降に泉谷、村竹、野本はクリア済み。高山もあと0秒02に迫っている。2023年ブダペスト世界選手権5位入賞の泉谷が今シーズン13秒27以内で走れば、五輪代表内定だったが、シーズン初戦の4月20日、中国・廈門でのダイヤモンドリーグで13秒17(-0.3/3着)をマークし早々と「内定」を決めた。

自己ベスト13秒00(23年世界選手権・銅メダル)と12秒96(23年世界選手権・4位)のアメリカの2選手には、0秒06と0秒01の胸差で敗れたが、13秒00がベストの4着のアメリカ人選手には0秒13差をつけ、21年東京五輪を制しブダペストでも銀だったジャマイカのH・パーチメント(ベスト12秒93)には0秒16の差をつけた。

パーチメントとは、23年7月23日の初対戦以来2勝2敗の五分だ。13秒17は、泉谷にとって「シーズン初戦」の自己新記録。これまでは23年の13秒25(-0.3/5月7日)が最高だった。第2戦は4月27日の中国・蘇州でのダイヤモンドリーグである。

また、村竹・高山・野本は4月29日の織田幹雄記念で対戦する。

2023年の世界リストでは、13秒04の泉谷と村竹が6位タイ、13秒20の野本が19位、13秒25の高山が24位タイ。
日本人選手は、世界50位以内(13秒39=51人)に計6人、同100位以内(13秒54=105人)に計12人が入傑している。100位以内の国別人数では、28人のアメリカが断トツだが、12人はジャマイカと並んで2位に位置している。以下は、4位9人・フランス、5位5人・中国と続く。

泉谷と村竹の13秒04は、全種目を網羅した世界陸連の採点表(2022年版)では「1247点」。
これを他の個人種目の記録にあてはめると以下の通りだ。

<世界陸連採点表(22年版)で「1247点」に相当する記録>
・カッコ内は公認日本記録
・五輪&世界選手権実施種目に限る
・「★」は、日本記録が「110mH13秒04=1247点」の点数を上回るもの

【JAAF】

【JAAF】

日本記録が「1247点」を上回っているのは、競技場内の種目では室伏広治さんのハンマー投(84m86=1278点)のみ。
ロード競技でも、世界記録である20km競歩(1時間16分36秒=1266点)のみだ。
110mHの13秒04のレベルがどれほど高いものであるかが上のデータをみればわかるだろう。

100m、200mと同様に個人別10傑平均記録の日本歴代10傑をまとめた。

<個人別10傑平均記録の日本歴代10傑(2024.04.15現在)>
・氏名の前の「*」は、非現役

【JAAF】

泉谷がコンスタントにハイレベルなタイムをマークしていることがよくわかる。
2021年5月9日に、当時の日本記録(13秒16)を持っていた金井さんに0秒05差(13秒38と13秒43)で敗れたのを最後に、日本人選手には一度も先着を許したことがない。

泉谷と各選手との対戦成績(決勝)は、
村竹には、6勝1敗で、6連勝中。
高山には、6勝5敗で、5連勝中。
野本には、4勝1敗で、4連勝中。
いずれも敗れたのは、2020年以前のレースである。

ハイレベルな争いの中で、泉谷と村竹には、「12秒台」の期待もかかる。
これまで12秒台で走ったのは世界歴代で24人。そのうち18人が五輪か世界選手権、もしくはその両方でメダルを獲得している。つまり、12秒台がベストの選手の世界大会でのメダル獲得率は75%だ。

泉谷と村竹が13秒04をマークした時の風は、ともに「向風0.9m」だった。9.14mのハードル間を3歩で刻まなければならないので、あまり追風が強いと詰まってしまう可能性がある。が、やはり「向風0.9m」はかなり不利な条件だ。その中での「13秒04」は、価値が高い。

以前にも紹介したが、13秒04以内のタイムは、世界歴代で36人が188回マークしているが、0.9m以上の向風の条件では、泉谷と村竹を含めて6回しかない。日本の2人以外の4回は、すべて12秒台のベストを持つ4選手(12秒80、12秒87、12秒91、12秒98)によるものだ。この4人は、全員が世界選手権や五輪を制している。そういう力がないと、0.9m以上の向風の中で、13秒04以内では走れないということであろう。泉谷と村竹の「12秒台」を楽しみにしたい。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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