四大陸は「五輪をプレ体感」する時間 平昌へ、羽生ら日本勢は何をつかむか
平昌五輪と同じ会場で行われる今回の四大陸選手権で、羽生(左)や宇野ら日本勢は何をつかむか 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
フィギュアの国際大会は初開催
江陵は、韓国の東海岸の都市。平昌五輪の中心会場となる平昌は山間部のスキーリゾート地であるため、フィギュアスケートやスピードスケート、アイスホッケーなどの氷競技は、平昌から車で30分から1時間ほどの江陵市に会場が置かれている。選手村は未完成のため、今大会では選手たちは別のホテルに宿泊することになる。
江陵アイスアリーナは客席がなだらかで平面的な造り。観客やジャッジにアピールするために、選手たちは距離感や角度をつかんでおく必要がある 【Getty Images】
羽生に対してどんな戦略で挑むか
優勝候補の筆頭は、今季のNHK杯で自身3度目の300点超えを果たした羽生結弦(ANA)。4回転ループを加えたことで、フリーで「4回転、3種類4本」という超人的な挑戦をしている。完璧な演技をすれば、自身が持つ330.43点の記録を更新することは間違いない。まさに自分の限界との真剣勝負といったところだ。
ライバル陣営は、この羽生に対してどんな戦略で挑むかが重要になってくる。まず4回転ジャンプの種類や本数で挑もうとするのは、金博洋(中国)とネイサン・チェン(米国)の若手2人、そして宇野昌磨(中京大)だ。
金は昨季、「ショートで2本、フリーで4本」の4回転を成功させ、世界最多本数を記録した。今季は滑りの基礎や演技面を磨き直すことで、演技構成点も少しずつ改善されている。
1月の全米選手権で「4回転を4種類5本」成功させたネイサン・チェン(左)。羽生と優勝を争う可能性も高そうだ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
宇野は、4回転トウループに加え、世界初成功者となった4回転フリップが武器。さらに4回転ループも練習では成功しており、「4回転2種類では世界とは戦えない」と、今季後半からはループに挑戦する可能性を宣言。さらなる飛躍を目指している。
一方、4回転ジャンプは羽生よりも少ないものの、総合力で迫るのが、パトリック・チャン(カナダ)だ。チャンは今季から新たに取り入れた4回転サルコウを、今大会でも成功させたいところ。もともと滑りの質の高さやエッジワークに定評があるため、ジャンプがまとまれば演技構成点(PCS)で得点を稼げる。
このほかジャンプの質に定評がある閻涵(中国)や、4回転サルコウを武器にする田中刑事(倉敷芸術科学大)、個性的な演技が光るジェイソン・ブラウン(米国)らが、多彩な演技でメダルを狙う。男子は全選手を通じて、4回転の成功の可否だけでなく、演技面も含めた非常に高レベルな試合展開が予想される。