四大陸は「五輪をプレ体感」する時間 平昌へ、羽生ら日本勢は何をつかむか

樋口、三原、本郷での表彰台独占も

シニアデビューシーズンの樋口(右)と三原(左)は四大陸選手権初出場。宮原がケガで欠場することもあり、奮闘が期待される 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 女子は、強豪のロシア選手がいないため、日本、カナダ、米国の3カ国のトップ選手による大混戦が予想される。優勝候補筆頭だった宮原知子(関西大)は疲労骨折のため棄権となったが、それでもなお日本女子3人は強豪ぞろい。カナダ女王のケイトリン・オズモンドの総合力や、17歳にして初の全米女王となったカレン・チェンの秘めたる爆発力も、試合展開を変動させそうだ。

 日本の樋口新葉(日本橋女学館高)と三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)は、2人ともシニアデビューのシーズンながら、グランプリ(GP)シリーズでは表彰台に乗る快挙を見せている。スピード感とジャンプ力が武器の樋口に対して、三原はバランスの取れた総合力があり、2人共にデビューシーズンらしい思い切りの良さが強みになっている。また補欠出場となった本郷理華(邦和スポーツランド)は、今季前半戦は不調だったが、フリーの曲を昨季の『リバーダンス』に戻したことで復調の兆しが見えている。日本女子による表彰台独占も夢ではない。

 オズモンドは長年苦しんだケガを克服し、今季は力強い滑りを取り戻している。GPファイナルでは212.45点と高得点をマークしており、今季だけで30点以上も自己ベストを更新した成長曲線のままくれば、シーズン後半は世界の表彰台も夢ではない。

 チェンは今季、回転不足の多かったジャンプが見直されたことで、一気に演技全体の迫力が増した。全米女王の自信を胸に、今までにない存在感ある演技を見せるだろう。

 そのほか、スケートアメリカで銀メダルを獲得したマライア・ベル(米国)や、昨季の四大陸選手権2位の長洲未来(米国)、ジャンプにパワーのあるガブリエル・デールマン(カナダ)、独特の世界観に人気があるエリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン)らがメダルを狙う。試合当日のジャンプの出来次第で、1位から10位までの順位がまったく予想できない、激しいバトルになりそうだ。

 男女とも試合の展開に加え、この四大陸選手権を経て1年後の五輪にどうつなげるかが重要。演技そのものだけでなく、試合後のコメントにも注目したい大会となる。

(文・野口美恵/スポーツライター)

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