ミドル級勢力図が明確になる2017年 日本期待の村田、世界挑戦も間近か!?

杉浦大介

“ミドル級の狂乱”が盛大なプロモーションで幕開け

“ミドル級の狂乱”ゲンナディ・ゴロフキン(写真)対ダニエル・ジェイコブスのキックオフ会見が10日に行われた 【写真:ロイター/アフロ】

“Middleweight Madness(ミドル級の狂乱)”――。

 そんなキャッチコピーがつけられたプロボクシングのWBA、WBC、IBF世界ミドル級タイトルマッチ、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対ダニエル・ジェイコブス(米国)戦(3月18日、マディソンスクウェア・ガーデンで開催)のキックオフ会見が現地時間1月10日に盛大に行われた。

 通称MSGの大アリーナが使用された大セレモニー。前日にはNBAのニューヨーク・ニックスのゲーム中にも2人のボクサーが華々しい形で紹介された。“殿堂”“メッカ”と呼ばれるMSGでは年に1、2度のビッグファイトが催されるが、プロモーションにこれだけ力を入れるのは珍しい。

「ジェイコブスは12連続KOを続けている。一方、ゴロフキンは23連続KO。合計35連続KOは何かの記録じゃないかな。3月18日の試合も12ラウンドまではいかないだろう」
 会見時には、ゴロフキンが所属するK2プロモーションズのトム・ローフラー氏がそう語っていた。ショーアップされたセレモニーからは、36戦全勝(33KO)のゴロフキン、32勝(29KO)1敗のジェイコブスが激突する王者対決をビッグイベントにしたい主催者の意気込みが伝わってくる。

勝敗予想はゴロフキン優勢

勝敗予想はゴロフキン優勢だが、陣営はジェイコブスに対して警戒姿勢を示す 【Getty Images】

 勝敗予想自体は、スキル、経験値で勝るゴロフキンに大きく傾いている。2015年10月のIBF王者デビッド・レミュー(カナダ)との統一戦同様、ジャブを使って丁寧に戦えば、カザフスタンの怪物はそれほど苦労せずにジェイコブスを片付けるかもしれない。ただ、常に礼儀正しいゴロフキン陣営は、身体能力に秀でたジェイコブスを警戒する姿勢を貫いている。

「彼は私たちがこれまで対戦した中で恐らくベストのファイターだろう。アマチュアの実績があるし、良い右を持っている。ボクシングIQも備えている。頭の良い選手だから、脅威になり得るよ」

 ゴロフキン側のアベル・サンチェス・トレーナーのそんな言葉を信じるなら、特に前半は注目が必要だろうか。

 ニューヨーク出身のジェイコブスだけでなく、ゴロフキンも旧ソ連系の人口が多いブルックリンにファンベースを持っている。そんな背景もあり、この試合は開催が近づくにつれて話題を呼びそうだ。3月18日の“ザ・ガーデン”は、17年上半期を彩るビッグイベントに相応しい雰囲気になりそうである。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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