ミドル級勢力図が明確になる2017年 日本期待の村田、世界挑戦も間近か!?
ゴロフキン対カネロは9月に計画!?
カネロ(写真)とゴロフキンの頂上決戦は9月頃になるか!? 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
現在のボクシング界で最大のカードが、ゴロフキンと2階級制覇王者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)の対決であることは間違いない。
世界ボクシング界の最新センセーションとなったゴロフキンと、母国メキシコを中心に絶大な人気を誇るカネロ。タイプの違う魅力を持つこの2人が対決すれば、PPV売り上げも100万件を軽く突破することは間違いない。
プランとしては、ゴロフキンは3月にジェイコブス、カネロは5月6日にフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)かWBO王者ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)と対戦する。両雄がここも勝ち抜けば、9月17日にラスベガスかテキサスで直接対決というシナリオが計画されている。
「ゲンナディとアベルは3月のジェイコブス戦に100%集中し、先まで見据えるのは私の仕事になる。ゲンナディが次の試合に勝たなければ、その先のことなんて無意味になる。だからみんなジェイコブスに集中しているし、彼のことを難敵として考えているよ」
ローフラーはそう語り、ジェイコブスに敬意を払う一方で、その後のプランもすでに進行中であることを暗に認めていた。
昨夏、カネロはゴロフキンとの指名戦を行わないまま保持していたミドル級タイトルを返上し、“最強王者から逃げている”と痛烈な批判を浴びた。しかし、すでに34歳になった通称GGGとの対戦は、先に伸ばすほどカネロに勝利のチャンスが生まれ、同時に少しでも引っ張った方がビジネス的にも両者に旨みが出るのは紛れもない事実なのである。
様々な意味で機が熟するのは今年の9月ではないか。シナリオ通りなら、今春以降、“GGG対カネロ”への期待感と話題性は、ボクシングの範疇(はんちゅう)を超えたうねりとなってスポーツ界を包み込むはずである。
村田に近づく“審判の日”
2017年のミドル級戦線の中で、村田(右)は存在感を示すことができるか!? 【写真は共同】
「トップランクのボブ・アラムと(英国人プロモーターの)フランク・ウォーレンの間で、村田諒太とサンダースの対戦に関する交渉も行われている。サンダースが5月にカネロと対戦しなかった場合、村田を挑戦させる話が出ている」
1月11日の『ESPN.com』上にはそんなニュース記事が掲載されていた。
WBOの指名挑戦権を持つカネロが、5月6日に予定する次戦でチャベスとのノンタイトル戦に臨むことになれば、村田のサンダース挑戦にゴーサインが出る。一方、チャベスとのメキシコ人対決が流れ、カネロがサンダースに挑むことになった場合、村田はもうしばらく待機することになる。
カネロ対チャベスの交渉はかなりゴールに近づいている模様。ロンドン五輪金メダリストの村田が、思い出のイギリス(サンダースの母国)でプロの世界タイトル挑戦というシナリオは少しずつ実現に近づき始めている。
例え今回は流れたとしても、世界ミドル級にはフレッシュな人材が枯渇していることもあり、いずれにしても村田には遠からずチャンスが来るだろう。遅くともゴロフキン(あるいは他の選手)がタイトル統一、返上後、空位の王座決定戦に声がかかるはずだ。とにかく、いつ、どこでタイトル戦が決まっても良いように、村田は心身のコンディションを整えておくしかない。
こうして見てきたように、2017年はミドル級にとって実に慌ただしく、重要な1年になる可能性が高い。まさに“Middleweight Madness(ミドル級の狂乱)”。今年が終わる頃、頂点に立っているのはゴロフキンか、カネロか、あるいはジェイコブスか。日本の期待を一身に背負う村田は存在感を誇示しているのか。来年の今頃には、頂点近くに魅力的な役者がそろった階級の勢力地図が、かなりはっきりしたものになっているはずである。