男子は4回転激戦時代を象徴する一戦に 羽生がGPファイナル4連覇、宇野も3位

華麗なる4回転合戦となったGPファイナル。羽生(中央)が史上初の4連覇。銀メダルは17歳のチェン(左)、宇野は銅メダルで2年連続の表彰台入りを果たした 【坂本清】

 シーズン前半の世界王者決定戦となるフィギュアスケートの「グランプリ(GP)ファイナル2016」が、現地時間12月8日から11日にかけて、フランスのマルセイユで開かれた。男子は、羽生結弦(ANA)が史上初の4連覇を達成。宇野昌磨(中京大)もフリースケーティングで挽回して銅メダルを獲得した。2位は4回転をフリーで4本決めたネイサン・チェン(米国)となった。

ショートは羽生が圧巻の100点超え

 羽生にとって、昨季は330.43点の世界最高得点を更新した大会という意味でも、また4連覇が懸かるという意味でも、期待と重圧が入り交じる大会となったGPファイナル。迎えたショートプログラムでは見事に、期待をモチベーションに変えた。

 現地入りしてから、試合前日の公式練習は調子が上がらなかったが、当日朝の練習は絶好調。その状態を「乱調気味でした」という羽生。本番冒頭の4回転ループは、前のめりに突っかかるような形になったが、耐えた。

「練習でも降りたことがないような変な降り方。奇麗に決まったらノーミスしなきゃと思って緊張したかもしれませんが、むしろ緊張がほぐれました」

冒頭の4回転ループで耐えた羽生。貫禄の演技でSP首位発進 【坂本清】

 そう感じると、続く4回転サルコウの連続ジャンプは難なく決める。演技後半のステップでは、観客に手招きする場面も。

「このプログラムは観客の拍手や声援があってこそ完成する。そういう意味でアドリブでやりました」

 まさにプリンスのロックを体現するような2分50秒を演じきった。得点は106.53点で今季最高点をマークし、断トツの首位発進。

「まだまだ伸びしろがあるプログラム。パーソナルベストを更新したかった」。そう、貪欲に答えた。

宇野は調整ミスで4位発進

コンディション不良もSP4位につけた宇野 【坂本清】

 一方、宇野は時差調整に失敗してショートを迎えた。

「とにかく全て自分の責任。真夜中に試合をしている感じで、6分間練習から力が入らなかった」と言う。

 冒頭の4回転フリップは降りたものの、4回転トウループは集中力を欠き転倒。86.82点での4位発進となった。

「気付いたら試合が終わっていました。とにかくよく寝てコンディションを整えます」と肩を落とした。

 一方、海外勢はパトリック・チャン(カナダ)が会心の演技をみせた。4回転トウループを含むすべてのジャンプをクリーンに成功。あとは持ち前のスケーティングと世界観を披露し、観客を酔わせた。ショート2位となる99.76点の自己ベストに満足そうにうなずくと、「練習どおり、計画どおりの素晴らしい演技をお見せできたと思います。落ち着いて自分のやるべきことをやりました」と話した。

 世界王者のハビエル・フェルナンデス(スペイン)は4回転トウループを成功したものの、4回転サルコウとトリプルアクセルでミスするという痛恨の出来。初優勝を狙っていたが91.76点の3位で、羽生に大きく引き離された。

「やはりシーズン前半の世界トップ6人という戦いは大変ですね。緊張したのか体のコントロールが利きませんでした」と話した。

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