歴史的な「4回転合戦」と「精神戦」 羽生、宇野、宮原が挑むGPファイナル
男子はフリーで4回転5本の選手も
もちろん優勝候補筆頭は羽生だ。昨季の同大会では330.43点という歴史的なハイスコアをマークし、この記録を打ち破る可能性がある選手は、世界には皆無という状況。羽生自身も新シーズンを迎え、自身の記録との戦いになっている。今季は新たに4回転ループを加え、フリーでの4回転は、昨季の3本から4本へと増加。もしすべてのジャンプが決まれば、昨季マークした世界記録をまた更新することは確実だ。
一方、羽生と同門のハビエル・フェルナンデス(スペイン)も譲らない。昨季は世界選手権で314.93点をマークしての金メダル。300点超えを果たしているのは羽生とフェルナンデスのみという2強時代に突入している。フェルナンデスの4回転は「ショート2本、フリー3本」で昨季と同様の組み合わせ。昨季はまだ全ジャンプをパーフェクトでこなしていないため、今季はジャンプの成功率と質を高め、さらなる進化を目指している。
また長いこと男子のトップグループに君臨している25歳のパトリック・チャン(カナダ)も、五輪前のシーズンということもあり今季は調子を上げてきた。これまでは4回転ジャンプに頼らない、基礎スケーティングと表現力が強みだった。しかし昨季からの劇的な4回転“複数化”時代において、2種類目の4回転の練習に取り組み、フリーでは4回転3本を入れている。ジャンプが決まれば、高い演技構成点が期待できるチャンも表彰台候補だ。
宇野が300点超えの王者に挑戦
話題を呼んでいるのは、今季シニアデビューの17歳、ネイサン・チェン(米国)。4種類の4回転を持つジャンプの天才である。フリーで「4回転5本」に挑戦しており、もしGPファイナルで成功させれば、前代未聞の「基礎点」そして「総要素点」が記録されることだろう。
また27歳のアダム・リッポン(米国)は、シニア9年目にして初のGPファイナル出場。長年苦しんだ4回転ルッツをいったんやめて、今季は4回転トウループに切り替えたことで、成功率は上がっている。独創的な振り付けと、音楽を身体全体で表現する力があり、エンターテインメント性ではトップといえる選手だ。
それぞれ4回転の本数、正確さ、そして表現力など、違う個性をぶつけあう一戦となるだろう。