バドミントン、次代を担う「ソノカム」組 全日本総合で連覇 男子代表の看板へ

平野貴也

ライバルの五輪出場で感じた勇気と悔しさ

今夏のリオ五輪に出場した早川賢一(左)、遠藤大由組は健闘を見せたが、準々決勝敗退。女子とは違い、男子の知名度アップには至らなかった 【写真:青木紘二/アフロスポーツ】

 園田、嘉村はともに26歳。今後はベテランの域に入るが、今夏はかなわなかった五輪出場を4年後の東京で果たそうと考えている。胸の内には、日本は男子も強いぞと証明したい気持ちもある。バドミントン日本代表はリオ五輪で金、銅のメダルを獲得したが、いずれも女子選手によるものだった。特に、日本に同競技初の金メダルをもたらした女子ダブルスの「タカマツ」ペアは、決勝戦で感動的な逆転勝利を収めたこともあって、広く認知された。現在も世界ランクは1位。今後も彼女たちが日本バドミントン界をけん引していくことになる。

 対照的に、男子は知名度を高める機会を逃した印象が強い。複数の選手が違法賭博を行っていたことが五輪前に発覚し、リオ五輪の金メダル候補となっていた桃田賢斗(NTT東日本)が、無期限の出場停止処分を受けた。そんな中でも男子ダブルスでは早川、遠藤組が、リオ五輪の予選グループで世界ランク5位の中国ペアや2015年の世界選手権優勝ペアを破るなど健闘を見せたが、早川がぎっくり腰に見舞われるなど不運に見舞われ、準々決勝で敗退。バドミントン界では評価を高めたが、メダル獲得で名を知らしめるには至らなかった。その悔しさを国内で噛み締め、刺激を受けていたのが、園田と嘉村だった。

 園田は「正直、悔しかった。あんなに頑張っていたのに、あんな感じで終わってしまった」とライバルが輝き切れなかったことを悲しみ、嘉村は「早川、遠藤組は(負傷で最後は力を出し切れず)残念な結果に終わったけど、格上に勝って、自分たちの力を出せれば五輪でも勝てるということを見せてくれた。自分たちにもチャンスがあるんじゃないかなと思った」と勇気をもらっていた。

「男子も明るいニュースを出していきたい」

2人はスーパーシリーズ・ファイナルズに第1シードとして出場する。男子も世界で戦えることを証明できるか 【写真:アフロスポーツ】

 リオ五輪が終わり、新たな戦いが始まる中で、2人は東京五輪に向けた最初の目標としてきたスーパーシリーズ・ファイナルズに第1シードとして出場する。年間成績上位8組のハイレベルな争いで表彰台に立つことができれば、五輪で味わった悔しさの一つを晴らすことができる。嘉村が「女子は五輪で金メダルだから、同じようにはいかないけど、僕たちもこの前スーパーシリーズを勝ったことで少しはメディアに取り上げてもらったし、一つひとつやっていけば、男子も見てもらえるようになると思う」と話せば、園田も「女子は五輪で金メダル。男子は不祥事もあった。ちょっとずつでも良いから、男子も明るいニュースを出していきたい」と女子の活躍の陰に隠れがちになっている男子勢のアピールに意欲を見せた。
 バドミントンファンには、すでに「ソノカム」の愛称で知られている。2人は、日本最強の看板を背負い、男子も世界と戦えるのだと強さを証明する戦いに向かう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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