愛の迷いを乗り越えて。イラプト 「競馬巴投げ!第133回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

JCは明らかに危機に瀕している

[写真1]キタサンブラック 【写真:乗峯栄一】

 何度挑戦しても、あのディープインパクトでも、オルフェーヴルでも凱旋門賞に勝てない。逆に当初、外国馬には歯が立たないんじゃないかと見られていたジャパンカップではここ10年日本馬しか勝ってない (特にここ7年では牝馬が5頭勝っている)。

 開設当初、メアジードーツ、ハーフアイストなど、割合注目の薄い馬が勝ったこともあり「アメリカ馬でJCに狙いを定めてきている二流馬を買う」を個人的格言にしていたが、今年など、一流も二流も関係ない、アメリカからは一頭も来ていない。ヨーロッパ勢も際だった成績を持たない3頭が来ているだけだ。

 びっくりするような賞金設定にしているのに、JCは明らかに危機に瀕している。

 天皇賞や有馬記念と同じメンバーで、同じ結果が出ても面白くも何ともないじゃないか。ジャパンカップはやはり外国馬の強さを見たい。秋天皇賞とジャパンカップは合同にして1レースだけやり、「外国馬は来ても来なくてもいいよ」という形にするべきだ。日本馬のレベルアップを見せるのは、凱旋門賞やブリーダーズカップでいい。馬券も買えるようになったし、テレビ中継を充実させればいい。

お前こそリラックスせえや、ロッド・スチュアート

[写真2]リアルスティール 【写真:乗峯栄一】

 そんなことを考えながら、栗東トレセンへの行き帰りをしているが、その車の中でよくロッド・スチュアートを聞く。もう40年も聴いているが、どうにもここから離れられない。

 しかし40年も聴いていて、最近になって発見したことがある。

 これは前にも少し書いたが、ロッド・スチュアートは「TONIGHT'S THE NIGHT」というヒット曲(邦題は「今夜決めよう」とかなっている。何を決めるっちゅうねん!)の中で「♪リラックス ベイビー」と言ってる。60過ぎても若い嫁さんを貰い、子供まで作る男はこういうことを言う。

 ぼくなんか「リラックス、リラックス、ほんとに大丈夫」と自分の下半身に向けてひたすら呪文を唱え、それでも武運ツタナクてなことになって、女は「あーあ」と大声出し「少しはリラックスしたらどうなのよ」と髪掻きむしって出て行ったりする。「リラックス!」には悲しい思い出しかない。

 大変な違いだ。

 でも、特に日本人の男でベッドで横になった女に向けて「リラックス ベイビー」と言える男はどれぐらいいるだろう? そうはいないはずだ。スコットランドには「うん?」とロッドの方に向き直り「お前こそリラックスせえや、ロッド・スチュアート」と言い返す女はいないんだろうか?

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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