<国内男子ゴルフ>大号泣こそ闘志の表れ。予選敗退の谷口徹「引退、は言えないな」
【通算20勝のベテランは、予選ラウンドで回った片岡(左)のこともべた褒めしてました©JGTOimages】
賞金レースと賞金シード争い「第43回 カシオワールドオープン」
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節目の年は、13試合に出て、予選通過はわずか2回。
自身のシーズン最終戦も、2日通算5オーバーの96位タイで、ついに決勝進出には及ばなかった。
賞金ランキングは153位で大会に入った。
上位65人の賞金シードにもほど遠いまま終戦した。
56歳の谷口徹(たにぐち・とおる)は、「下手ですよね~、スコア出すのが」と苦笑しながら上がってきたと思ったら、ふいに両手で顔を覆い隠して号泣した。
来月3日ー6日のファイナルQTは出場しないが、
まだ生涯獲得賞金25位内の資格は保有している。その行使を自ら決断すれば、来季1年はツアーに出場できる。
しかし、谷口は迷っていた。
予選ラウンドで回った片岡尚之(かたおか・なおゆき)は26歳。
「若い選手はみないいスイングをしているし、若い子たちが日々成長していくのを見るのは嬉しい」。
目を細める一方で、痛感するのは「自分の不甲斐なさ」。
尾崎将司が保持する55歳と240日(2002年ANAオープン)のツアー最年長V記録の更新を、目標に掲げたのは50歳の時という。
「でも、あっという間に6年経って。一番最後の一番厳しい目標かな」と、思い知らされると涙が出る。
気力はある。
体も丈夫。
「すこぶるどこも痛くない。それは、今までチームのおかげかな、と思いますけど結果がすべてのスポーツなんで。いろんなこと、いっぱいトライはするんですけど自分が思っているようなゴルフができない。数字を出さないと、意味がない」。
涙が止まらない。
「何リットル出るんだろう。涙腺が壊れているんかな」。
2002年と07年の賞金王は数々の祝勝会でも泣き、2019年に22年守った賞金シードをなくした際にも、まだ複数年シードは残っているのに泣いていた。
最近は、大好きなコブクロ(※人気の音楽デュオ)さんのライブに行っても「涙が出ちゃう」。
嬉しくても泣き、悔しくても泣き、感動しても泣く。いくつになっても純な男の涙は、それだけ強い闘志と勝負師の表れだ。
今月の上田桃子さんの引退宣言を、複雑な思いで聞いた。
「付き合いが長かったし、女子プロの中でも一番好きな選手。そんなにしなくてもというくらい練習するし、僕のほうが絶対早く辞めると思っていたのに」と余計に自身の今後の身の振り方を、思わないではいられなくなった。
シニアツアーにたまに行くと「もういいんじゃない?」と言われる。
「シニアはシニアで楽しいし、カート乗れるし、カート乗れるし、距離短いし、クラブ短いし、練習ラウンド混まないし、いいことしかない」。
心は揺れるが「僕の中ではレギュラーのほうが楽しいし、真剣になれる。1ショット1ショットに余裕がないし、予選通るのでも必死ですけどこの年になって、必死になれることなんて、あまりないじゃないですか」。
どんなに悔しくも苦しくても血肉が躍るのは、やっぱり30年以上を過ごしたレギュラーツアーだ。
「引退って言って(期限を)決めてやると、気力がなくなっちゃう。それは言えないな…。ゆっくり考えます」。
赤い目のままコースを出た。
【バッグを配送所に運ぶ谷口に若手の勝俣が「手伝いましょうか?」「大丈夫や、自分で運べるよ!」すこぶる元気な56歳です】
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