「最高!」ミルコ歓喜の京都GI初制覇 開花クイーンズリング3F33秒2で一気差し

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出遅れもなんの!「本当にすごい脚」

直線は末脚爆発! 馬群を突き抜けゴール寸前での大逆転勝利となった 【スポーツナビ】

 レースも実に力強い内容だった。

「ゲートの中でテンションが少し高かった」と、スタートは出遅れ。当初は内にいるミッキークイーン、マリアライトよりも前で競馬をすることを考えていたクイーンズリング陣営だったが、目論見は外れてしまい、2強よりも後ろからの競馬。だが、これが結果的に良かったとジョッキー、トレーナーともに口をそろえた。

「すぐ前にマリアライト、ミッキークイーンがいたから、それをずっと見ながら競馬ができたし、距離を考えたら逆にこの位置で良かったと思います」(ミルコ)

 と言って、この日の京都芝コースは差しが決まりづらい馬場状態。中団から外を回したのでは到底1着には届かないだろう。それが分かっているミルコは枠なりのまま最内の経済コースを行き、いざ勝負の直線へ。そのままインを突きたかったが、眼前にはルメールが乗るシングウィズジョイ、ならば外からと思ったがミッキークイーンに、川田が駆るパールコードが二重の壁になっている。

「最後の直線は厳しかったですね。内に行きたかったけどクリストフ(・ルメール)がいたし、外はミッキーに邪魔されて、(川田)将雅もいた。だから真ん中から行くしかなかったけど、クイーンズリングは本当にすごい脚を使ってくれました。すごく伸びましたね」

 ミルコが興奮気味に振り返った“すごく伸びた”ラスト3ハロンはメンバー最速の33秒2! 直線で不利を受けて8着だった昨年の悔しさまで晴らすような、見事な差し脚だった。

2000メートルまでなら距離不問

2000メートルまでなら距離不問、マルチな活躍が期待できそう 【スポーツナビ】

「千四、千六、千八、そして今日の2200メートル。調子のいいときはどの距離でも走れる馬。本当にすごいです」とミルコが言えば、吉村調教師も「短いところの馬ではないですね。千四の重賞を勝って、2200メートルのGIを勝つなんてタイプ的にも少ないと思います。ポテンシャルの高い馬です」と、距離の融通性を強調している。

 ただ、やはりベスト距離を問われれば2000メートルまでのようで、牡馬相手となると、例えば2500メートルで争われるクリスマスの有馬記念に関しては、トレーナーは“少し厳しい”という表情を浮かべた。

 いずれにせよ、今後に関しては「馬の状態を見て、オーナーと相談してから」。有馬は流動的だが、来年の大きな目標は春のマイル女王戦・ヴィクトリアマイルになるだろう。また、GIに昇格する大阪杯もターゲットに入ってくるか。本格化を迎えたマルチな女王が来年以降の牝馬戦線はもちろん、マイル、中距離路線をさらに面白くしてくれそうだ。

マリアライトの蛯名「1コーナーの不利が全て」

敗れたマリアライト(手前・黒帽)、ミッキークイーン(右・白帽)の2強 【スポーツナビ】

 一方、敗れた2強。

 予定していた京都大賞典を捻挫で回避し、ここが半年振りのぶっつけ本番となったミッキークイーンは馬券圏内の3着に突っ込み、最低限の面目は保った形か。

「ゲートも上手に出ましたし、道中もいい位置だと思っていました。3、4コーナーもスムーズだったんですが、やっぱり休み明けだとエンジンのかかりが……。でも、もう1回差を詰めようとしていた気持ちの強さ、ポテンシャルはすごいなと思いましたね」と浜中。それだけに1回使えていれば……という思いは強いだろうが、「それはもう仕方ない」と気持ちを切り替えていた。

 対して、6着同着に敗れ連覇を逃したマリアライトの蛯名は、「1コーナーの不利がすべて。落ちるかと思ったし、多大な影響を受けた」と言葉少なに切り上げてしまった。こちらの次走は有馬記念を予定している。今回不完全燃焼だった分を、クリスマスの中山で爆発させるしかない。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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