早稲田大ラグビー部、異例の強化計画 「これからが本番」王者・帝京大に挑む
「最後のチャンス」シーズン中のフィジカル強化
桑野主将(右端)を中心に、春から体重を大幅に増やした 【斉藤健仁】
実は、チームでは筑波大戦を一つ目の山とし、11月6日の帝京大戦を2つ目の山に設定した。その過程で、帝京大戦までの5週間のうち、3週間は日本体育大戦と青山学院大戦と2試合が組まれていたものの、「最後のチャンスだと思いました。フワッとアタック練習するよりも、帝京大学に物理的なパワーで負けないように根本であるフィジカルをやろうと思った」と山下監督が言うように、もう一度、体を追い込んだ。
すでに1軍の選手たちは春からの体作りで、筋肉で体重を平均7〜8キロ、増やしていた。それでも、シーズンに入ると1〜2キロ落ちていたために、具体的には3週間で、除脂肪体重を1キロ増やすことを目的に、ほぼ毎日ウェイトトレーニングを行い、先週の火曜日と水曜日は1日3回行った。3週間でチーム練習は2回しかやらなかったという。
まるで2015年春のエディー・ジャパンを思い出すような――試合のための練習は行わず、先を見据えてフィジカルアップを目指した。「シーズン中にチーム練習をやらず、1日3回もウェイトトレーニングをやったことは僕の記憶にはありません。日本体育大戦も負ける気がしなかった。試合の結果はしょうがない。ここは準備に専念しようと思いました」(山下監督)
SH齋藤「体重は7キロ増えた」
将来性の高さを評価されている1年生SH齋藤 【斉藤健仁】
また、1年生とは思えない186センチ、100キロの大型CTB中野は「体脂肪は少しずつ減ってきましたし、アジリティー(敏捷性)もついてきた。体つきも変わってきている」と言えば、すでに4トライを挙げているFB梅津は「試合でスキルが出せるようになってきた。ランで勝負できるようになってきた」と、山下監督の指導とフィジカルアップの効果を実感している。
山下監督「伸びシロしかない」
1年生FB梅津はすでに4トライを挙げる活躍を見せている 【斉藤健仁】
「体を追い込んで体重が増えて、戦う土台ができている。(この4年間で)一番フィジカル的には調子がいい」とLO桑野主将が言えば、「これからが本番です。買いかぶることはしませんが、1年生はまだまだ成長する。チームとしては伸びシロしかない」と山下監督と言い切った。
青年監督とルーキーたちが引っ張るアカクロのチャレンジャーたちは、この2週間でチーム練習に専念し、戦術的にブラッシュアップをかけて、大学選手権7連覇中の大学王者に挑む。