ソフトバンクが初の銀メダル! アメリカズカップ福岡大会へ高まる期待

中山智

ついに銀メダルを獲得したソフトバンク・チーム・ジャパン 【中山智】

 カンヌやニースなどで有名な世界屈指のビーチリゾートエリア、南仏にあるトゥーロンが、「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」(以下ワールドシリーズ)第8戦の舞台。参戦6チームが集結し、現地時間9月9日から3日間にわたって大会が行なわれた。

 あつまった計26万人もの観客の前で、ソフトバンク・チーム・ジャパンは総合2位と過去最高の成績を残し、11月の次戦、福岡大会へと弾みをつけた。

 

上昇が見込まれるライバルチーム

 シカゴ(アメリカ)、ポーツマス(イギリス)と2大会連続の総合3位、連続表彰台を継続中と好調なソフトバンク・チーム・ジャパンだが、このトゥーロン大会ではかなりの苦戦を強いられることになる。

 その理由のひとつは、地元開催となり多くのファンからの声援が後押しとなるグルパマ・チーム・フランスの存在だ。同チームのスキッパー(艇長)であるフランク・カマは、世界一過酷とも言われる世界一周ヨットレース「ボルボ・オーシャンレース」の2011−12年度を制したフランスヨット界の英雄だ。

 もうひとつは、前回4位のエミレーツ・チーム・ニュージーランドと前回6位のアルテミス・レーシング(スウェーデン)が、今大会ではベストメンバーで挑めること。

 実は2チームともヘルムスマン(舵担当)とトリマー(セールコントロール担当)が、リオ五輪のセーリング競技男子49er級代表選手。アルテミス・レーシングのネイサン・アウタリッジ/アイアン・ジェンセン組(オーストラリア代表)は銀メダル、エミレーツ・チーム・ニュージーランドのピーター・バーリング/ブレア・トゥーク組(ニュージーランド代表)は金メダルを獲得している。

 2チームとも主要メンバーが抜けたポーツマス大会では成績が振るわなかったが、今大会、ベストなチーム構成で参加できるのは大きなプラス要因だ。

初日はフラストレーションのたまる結果に

大会序盤は風が弱く、各チームとも艇の前方にバランスを移して艇速をあげるなど、ボートコントロールに苦戦していた 【中山智】

 そうしてスタートした大会初日、風速は最大でも6ノットに届かない微風から軽風のコンディション。このコンディションにソフトバンク・チーム・ジャパンは悩まされることになる。前回大会でチームの課題となっていたスタートでの出遅れは修正され、好位置かつ好タイミングのスタートを見せるも、そのあとのコース取りで順位を落としてしまう。

 その結果、ソフトバンク・チーム・ジャパンは第1レース5位、第2レースは4位、第3レースが5位とラストフィニッシュこそ防いだが、総合順位では最下位の6位に留まった。

 ソフトバンク・チーム・ジャパンの早福和彦総監督はレース後に「風軸の変化や、風の強弱をつかむのが難しい場面もあり、後続の追い上げを許してしまった」と語っており、タクティシャン(戦術担当)であるクリス・ドレーパーも「良いスタートが切れたのに、下マーク(風下に設置されたブイ)では順位を落とす展開で、チームとしてはフラストレーションのたまる結果だった。風下でのコース取りに反省点があるので、きちんと分析して修正していきたい」と課題を挙げた。

 2日目の風のコンディションは、艇を持ち上げて帆走するフォイリングこそできないが前日よりは強い軽風。初日に最下位と沈んだソフトバンク・チーム・ジャパンだが、ここから今までの大会では見られなかったような追い上げを見せる。2日目最初の第4レースでは引き続きスタートは好調。第1マークを2番手で回航すると、そのままの順位をキープして2位でフィニッシュ。

 第5レースはスタートミスでフライングのためペナルティーを受け、一時最下位まで順位を落とすものの、そこから先行する2艇を抜いて4位でフィニッシュに滑り込んだ。

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著者プロフィール

1974年生まれ。本業はITやモバイル業界をメインに取材・執筆をしているフリーライター。海外取材も多く、気になるイベントはフットワーク軽く出かけるのがモットー。大学在学中はヨット部に所属し、卒業後もコーチとしてセーリング競技に携わっている。アメリカズカップのリポートをとおして、セーリング競技に馴染みのない人たちへヨットの認知度アップを狙っている

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