ソフトバンク上位進出の戦略とは!? 中東で得たアメリカズカップへのヒント
前大会から4カ月「研究してきた」
昨年10月に開催されたバミューダ大会から、約4カ月の期間をあけて開催された、アメリカズカップ・ワールドシリーズ第4戦。開催地はアラビア半島の東端に位置するオマーンで、アメリカズカップのイベントとしては初めて中東で行われる。オセアニアや欧州で盛んなセーリング競技だが、近年中東でも大規模な国際大会が開かれるようになっており、注目される地域だ。
ニュージーランドチームのメインスポンサーは、中東UAEのエミレーツ 【中山智】
好スタートを連発したが……
マスカットのゴルフ場を観客に開放し、一般客も無料でレース観戦が可能だった 【中山智】
初日のソフトバンク・チーム・ジャパンは、アメリカズカップのスキッパー(艇長)としてキャリア、実績ともに申し分ないディーン・バーカーがその実力を発揮しスタートでさえを見せる。
1レース目から3レース目まで、全レース好位置でのスタート。2レース目ではトップスタートで第1マークを2位で回航、3レース目も好位置からのスタートで、第1マークを1位で回航している。
セーリング競技のスタートは、陸上競技と違い定位置から「よーいドン」でスタートするのではなく、海上で決まったブイとブイを結んだラインを特定の時間に通過する方式だ。ヨットは海上で同じ位置にとどまっていることができないので、相手艇をけん制しつつ、帆走しながらスタート時間のタイミングに、トップスピードでスタートラインを通過するのが重要。実質スタート前からレースが始まっている状態だ。そのため好スタートを切ることがセーリングでのレース、特にマッチレースでは勝利への大きな決め手となっている。
スタート時間のタイミングに、トップスピードでスタートラインを通過することが重要となる 【中山智】
これは2日目も同様で、スタートこそ好位置だがレース中盤で遅れをとることが多く、4レース目は3位、5レース目は6位となってしまう。さらに6レース目は、スタートでリコール(フライング)をしてしまい、ペナルティーでレース中盤は最下位まで順位を落としていた。
結果的に6レース目は4位でのフィニッシュとなったが、5位のエミレーツ・チーム・ニュージーランドはエリア外帆走のペナルティー。6位のアルテミス・レーシングは、マーク回航中にロープが絡まるというトラブルが発生したため、いわば敵失での4位。それがなければ6位はほぼ確実だった。