ソフトバンク、快挙の理由は「乗艇位置」 アメリカズカップで初の表彰台

中山智

第6戦の舞台は“風の街”シカゴ

集まった観客は20万人。アメリカでのヨット人気の高さがうかがえる 【Getty Images】

「われわれの歯車がかみ合えば、上位に食い込むことは間違いない」

 ソフトバンク・チーム・ジャパンの早福和彦総監督はレース直前のテレビインタビューでこう答えたが、今大会はまさに「歯車のかみ合った」レースとなった。

 6月10日に初日を迎えた「ルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ」(以下ワールドシリーズ)第6戦の開催地は米国のシカゴ。五大湖のひとつ、ミシガン湖の西部に位置するネイビーピアがレース海面となった。ちなみに淡水湖でアメリカズカップイベントが開催されるのは初めてのことだ。

 シカゴは別名「Windy City(風の街)」と呼ばれる。とはいえ統計を見るとニックネームほどの強風は吹かず、平均風速も速くはないが、ミシガン湖から安定した季節風が吹き込むため、第5戦のニューヨーク大会のような、ヨットレース開催に不向きな海面ではない。

 ただし、シカゴも陸地に建ち並ぶ高層ビルの影響から、風向がめまぐるしく変わる。ちょっとした操船ミスが大きなトラブルになりかねない、難しいコンディションである。

練習レースで完全勝利

 これまでの大会同様、11日と12日の本レースに先立ち、10日に練習レースを実施。6チーム全艇が一緒にレースを行うフリートレースが3レースと、1対1のマッチレースを各チーム1レースずつ行った。

 この練習レースでソフトバンク・チーム・ジャパンは「歯車のかみ合った」結果を見せる。フリートレースでは全レース1位でフィニッシュ。マッチレースでは、スウェーデンのアルテミス・レーシングに勝利し、全レース完全勝利となった。

 どのレースも、スタートに定評のある艇長のディーン・バーカーがその実力を発揮して好スタート。これまでのレースでは、そのあと順位を落とす展開が多かったが、この日はそれがなく、逆に上位との差を詰め逆転するレース展開となっていた。

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著者プロフィール

1974年生まれ。本業はITやモバイル業界をメインに取材・執筆をしているフリーライター。海外取材も多く、気になるイベントはフットワーク軽く出かけるのがモットー。大学在学中はヨット部に所属し、卒業後もコーチとしてセーリング競技に携わっている。アメリカズカップのリポートをとおして、セーリング競技に馴染みのない人たちへヨットの認知度アップを狙っている

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