ホンダのF1挑戦の歴史が一同に ツインリンクもてぎにマシンが集結

田口浩次

展示内容を紹介

ホンダRA272。1965年のドイツGPでリッチー・ギンサーがドライブするRA272がF1初優勝を飾った。搭載するエンジンは1500ccのV12エンジンだった 【田口浩次】

 時間が許されたので、簡単にホール内の映像も撮ることができた。エントランス正面に鎮座するのは、「RA272」。1965年のメキシコGPで初優勝を飾ったマシンだ。じつはこの初優勝がホンダと同じ64年から参戦し、98年までに通算368勝を飾ったグッドイヤータイヤにとっても、F1初勝利だったことはあまり知られていない。
(撮影:田口浩次)
 ホール内は60年代の第一期、80年代の第二期、そして2000年代の第三期のマシンが順番に並んでいる。壁には、その時代の写真が飾られ、各マシンは手を触れられるほどに近い場所に並べられており、この展示がいかに貴重なものかが伝わってくる。

 80年代の展示を見ると、日本のF1ブームがそのまま蘇ってきそうだ。マクラーレン・ホンダの「MP4/4」はもちろんだが、ロータス・ホンダやウィリアムズ・ホンダといった、ホンダの栄光が目の前にある。この熱狂なくして、F1やグランプリという言葉が日本で広く認知されることはなかったろう。

有志で開発の「カラス」も展示

 そして、非常に貴重だと感じるのが、ホンダの有志スタッフが開発した「カラス」と呼ばれたテストカーの展示だ。当時はオールホンダへの布石だとスクープ記事を書かれたりと、色々と逸話が残っているマシンなのだが、いまマシンの細部を見ると、エンジニアの名前が遊び心で入っていたりと、有志の作品であることが理解できる。しかし、当時の雑誌がオールホンダの布石だと記事を書いたのもうなずけるほど、あまりにもマシンの完成度が高度過ぎて、これを見て有志と呼ぶのは内部だけだったに違いない……とも思う。

 そこから、ティレルのスタッフと一緒に、本当にオールホンダを目指したマシンがあり、B・A・Rからオールホンダへとつながる2000年代の第三期のマシンが並ぶ。当時は賛否両論のニュースとなったアースカラーのマシンもあり、30年という歴史において、決して順風満帆ではなく本当にいろいろなことを乗り越えてF1活動を継続してきたのだと、納得がいくと思う。

 現在のマクラーレン・ホンダはまだまだ、第二期や第三期のような輝きを放ってはいないが、この30年間にホンダが関わってきたF1マシンを見ると、このままでは終わらないだろうと思わせるエンジニアの意地を感じることができる。ぜひとも、チャンスがあればツインリンクもてぎへ見学に来てもらいたい。

<次ページで展示の一部を写真で紹介>

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