イチローの偉業、全米各地でも話題に フィラデルフィアでの4連戦初戦は音なし

丹羽政善

マッティングリー監督取材もイチローの話題

9回に代打で登場し、ピッチャーゴロに倒れたイチロー 【Getty Images】

 最近は、試合前の監督会見で、米記者がドン・マッティングリー監督にイチローのことを聞くケースも多く、手を替え品を替え質問が飛ぶ。この日は、42歳のイチローが、こういう活躍を続けていることに驚いたか、という問いかけだった。

 それに対してマッティングリー監督は、「もちろん少し驚いた」と正直に答えている。
「去年の成績(打率2割2分9厘)を考えれば、3割3分以上打っているなんて予想はできない」

 ただ、その去年の成績に関しては、「試合に出過ぎ」と考えているそうだ。

「去年は、あまり見る機会がなかったけど、出場機会が多すぎたのではないか。イチローは認めないと思うが」

 今季、慎重に起用しているのは、彼のそういう考えがあるようだが、いずれにしても、普段はイチローを取材していない記者が、入れ替わり立ち替わり来ることもあって、基本的な質問が飛ぶこともあるが、そんなやり取りがこのところ、試合前に交わされているのである。

四球を選ぶとため息も

 話を試合に戻せば、この日のイチローは、珍しい起用パターンになった。9回、先頭の打席に入ったイチローはピッチャーゴロに倒れたものの、その後、味方が同点に追いついた。四球で歩いたジャンカルロ・スタントンに代走が出された関係で、イチローが代わってライトの守備に就いている。

 そして、延長10回表には2死一塁という場面で2回目の打席が回ってきた。

 そのとき再び、「イチロー!」という声が掛かる。

 その打席では、カウント3−1から四球を選び、一塁に歩く。客席からため息が漏れたのは、自分のチームの投手の不甲斐なさに対してだけではなかったはずだ。

 結局この日は、延長11回表、マーティン・プラドがレフトに勝ち越し本塁打を放ち、試合にケリを付け、マーリンズはナ・リーグ東地区の単独2位に躍り出た。

2/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント