ブロック・レスナー、UFC復帰への想い「オレの中にファイターが生きている」

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プロレスファンにとっても注目の一大事

対戦相手はマーク・ハント。状況的にはハント有利と見るファンの方が多い 【Zuffa LLC】

 WWEも6月5日にプレスリリースを発表し、レスナーが「UFC 200」に出場すること、UFC出場は1回限りであること、レスナーが8月21日開催のビッグマッチ『WWEサマースラム』に出場予定である旨を明らかにしている。レスナーはプロレスの世界でもますます巨大な存在となっており、今回のUFC出陣はプロレスファンにとっても大注目の一大事となっているのだ。

 WWEにとっては、プロレス無敗の怪物をリアルファイトに送り出すことには高いリスクが伴うため、UFCとWWEの交流はこれだけで終わるわけではないのでは、との見方もある。ちなみに、15年3月に開催された『WWEレッスルマニア31』に、UFCのロンダ・ラウジーが出場したことがある。

 対戦相手のマーク・ハントは、日本ではおなじみ、元K−1ワールドグランプリのチャンピオンで、PRIDEでも活躍した選手だ。42歳という年齢、12勝10敗1分という一見平凡なMMA戦績にだまされてはいけない。フランク・ミア、ロイ・ネルソン、アントニオ・シウバ、ステファン・ストルーブら強者(つわもの)たちをノックアウトしてきたUFCヘビー級屈指のハードパンチャーであり、いまだ進化中のノックアウトアーティストなのである。いかにレスナーといえども、まともに一撃がヒットすれば、立っていることが極めて難しい強敵だ。

 レスナーには4年半のブランクがある。年齢も39歳になった。本来の持ち味であるスピードは健在なのか、MMAの進化についていけるのか、試合勘は戻るのかなど、課題は決して少なくない。ラスベガスの掛け率は今のところハントが1.51倍、レスナー2.66倍と、ハントが有利と見る人が多い。

「メリークリスマス、ダニエル」

メインを務めるコーミエとは旧友であるレスナー。復帰が決まった後は、粋なメッセージも贈っている 【Zuffa LLC】

 レスナーは現在、カナダの自宅にコーチ陣を招へいし、合宿を組んで特訓中だ。柔術コーチのホドリゴ・メデイロス(ブラジル)からは柔術青帯を授かった。また、レスナーがかつてUFCに在籍していた頃にはなかったこととして、米アンチ・ドーピング機関(USADA)による抜き打ちの薬物検査も、すでに5回も行われているという。

 レスナーの「UFC 200」出場に喜んだ選手の1人に、この大会のメインイベントでライトヘビー級タイトル統一戦を行うダニエル・コーミエ(米国)がいる。レスナーのおかげでペイ・パー・ビューの売り上げ件数が増加すると、自分のボーナスも増えるからなのだが、それだけでなく、2人はカレッジレスリングの同期であり、昔からの知り合いなのだ。コーミエはオクラホマ州立大学、レスナーはミネソタ大学出身だ。

「UFC 199」内でレスナー出場が電撃発表される少し前にこの件を耳にしたコーミエは、レスナーにメールで、「やあ、まるでクリスマスプレゼントをもらったみたいだよ」とメールを書いた。しかし、そこはさすがにエンターテイナーのレスナー、情報解禁を律儀に守り、すぐには返信をせず、自身の復帰が公式発表された直後に「メリークリスマス、ダニエル」と返信したのだった。

 すでにタイトルマッチが3試合も組まれていた「UFC 200」記念大会ではあったのだが、レスナー参戦が追加されたことで、年間最大のビッグイベントにふさわしい本物のプレミアム感が一気にアップした。まさにファンにとっても、“真夏のクリスマスプレゼント”である。「UFC 200」は日本時間7月10日(日)、ラスベガスに新装オープンしたT-Mobileアリーナで開催される。

(文:高橋テツヤ)

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