UFCファイターに聞く選手の日常 プロの戦いを生き抜くのに不可欠なこと

長谷川亮

UFCフェザー級のトップ戦線で戦うカブ・スワンソン。その日常について聞いてみた 【スポーツナビ】

 元プロボクサーで5階級制覇を達成したフロイド・メイウェザー(アメリカ)との対戦が取り沙汰される風雲児コナー・マクレガー(アイルランド)がベルトを持つUFCフェザー級において、現在6位につけるベテラン、カブ・スワンソン(アメリカ)。一時は6連勝でタイトル挑戦まであと一歩に迫るも、元王者フランク・エドガー(アメリカ)に敗北を喫し、そこから次戦も敗北。しかし仕切り直しとなる4月のハクラン・ディアス(ブラジル)戦を制し、再び浮上をにらんでいる。

 けがに見舞われブランクを余儀なくされた時期もあったが、それも乗り越え現在プロキャリア12年目。不屈のアグレッシブファイター、スワンソンにファイターとしての生い立ち、その日常を聞いた。

競技の世界に戻りたい時に柔術と出会う

元々はサッカー少年だったが、柔術に出会ったことで、プロのファイターへと向かっていった 【Getty Images】

――今日はスワンソン選手がどんな選手で、どんなキャリアを歩んできたかをお聞きしていきたいと思います。まず格闘技は19歳で柔術を始めたのが最初だそうですね。

 小さい頃からずっとサッカーをしていたんだけど、ちょっと遊び過ぎた時期があって(笑)、やっぱり競技の世界に戻りたいと思ったんだ。それでちょうどそのころ柔術と出会って、始めることにしたんだよ。

――小さい頃はどんな子どもだったのですか?

 静かだけど頑固というか、すごく負けず嫌いな子どもだったと思う。

――現在のファイトスタイルがうかがえる幼年期だったのですね(笑)。サッカー時代の憧れは誰だったのでしょうか。

 ヨーロッパや南米の選手に憧れていたかな。アメリカの選手も好きだったけど、やはり基本的に憧れたのはヨーロッパの選手で、プロサッカー選手になるのが夢だったんだ。

――柔術を初めてやった時はどんな印象、感想を持ちましたか?

 最初は自分の運動神経を使ってテコンドーとかをやろうと思っていたんだけど、柔術を始めた時に、自分より小さくて、どう考えても運動神経もよくないだろうという相手に完璧に負かされてしまったんだ(笑)。それで“このスポーツはスゴい”と思って目覚めたんだよ。

――では、その頃からいずれは今のようなプロのファイターになろうと志していたのでしょうか?

 いや、まだ始めた頃は今のように格闘技がプロのスポーツとして成り立っていなかったし、そんな風に考えてはいなかった。有名になりたかった訳ではないし、今も買い物に行くとたまに人が気づいてくれたりすることがあるけど、何だか不思議な感じがするんだ。でも昔思っていなかったことではあるけど、自分がやっているこの仕事を愛しているよ。

憧れたのはヴァンダレイと桜庭

――まだ格闘技を始めて間もない頃よく見たファイター、憧れたファイターというと誰になりますか?

 やっぱりヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)とサクラバ(桜庭和志)かな。PRIDE時代の2人は、そのクリエイティビティと荒々しさでとても印象に残っているよ。

――今回は昨年9月のUFC日本大会にゲストファイターとして来日して以来、2度目の来日となります。日本の印象はいかがでしょうか?

 日本のファンは知識が豊富で、すごく敬意を持って接してくれる人が多くて、前回とても良い時間を過ごすことができた。PRIDEの時代にブームが来て、今はまたそこから新しい時代に突入している感じを受けるし、とにかくみんなすごく知識が豊富な印象があるね。

――2004年にデビューしてプロとしてもう12年のキャリアを誇りますが、これだけ長きに渡り第一線で活躍できた秘訣は何でしょうか?

 やっぱり負けず嫌いだからじゃないかな(笑)。長くやってきても、まだ1度も自分のベストだと思える試合をできたことがないし、それが今も続ける理由になっていると思う。

――けがで戦線を離れ、1年以上試合ができない時期もありましたが、そういう時はどのように乗り越えてきたのでしょうか。

 あの時(13年7月から翌年6月まで。肘のけがで戦線を離脱していた)は頭をリセットすることが必要だった。難しい時期だったけど自分のコーチやトレーニングスタイル、今後どうやっていけばいいのかを見直すことができたし、今からすると自分に必要なよい時間だったと思う。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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