【リアルジャパン】デビュー30周年を前に日々進化中 “究極龍”ウルティモ・ドラゴン

リアルジャパンプロレス

【リアルジャパンプロレス】

 来年でデビュー30周年を迎えるウルティモ・ドラゴンが充実の季節を迎えている。リアルジャパンマットで様々なタイプの選手を相手に好勝負を展開。継続参戦する全日本プロレスやみちのくプロレスでも確かな存在感を発揮している。

 リアルジャパン『初代タイガーマスク黄金伝説〜LEGEND OF THE GOLD V』6・23後楽園ホール大会ではヒートと組み、折原昌夫&ケンドー・ナカザキ組と対戦することが決定。プロレス観がまったく違うという因縁の折原を相手にしても、たとえ総合格闘技出身のレスラーと対戦しても、異国の地で無名の巨漢レスラーと激突しても、ウルティモ・ドラゴンが動じることはない。長いキャリアを経ても未だに進化を続ける“究極龍”はどんな思いでプロレスと向かい合っているのだろうか? 本人に今の心境を聞いた。

試合をすることが最高のアンチエイジング

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――5月28日にアレナ・メヒコで恒例の『DRAGOMANIA XI』が開催されましたね。

 自分自身にとって30周年という節目の1年前なんですけど、今年は全日本プロレスから秋山準社長が参戦してくれまして。対戦相手が中島洋平ということで、「これが全日本プロレスだ」という試合をしてくれました。やっぱりメキシコのほうでも全日本プロレスという名前は大きいですからね。メキシコのファンも地元の日本企業の方たちも喜んでくれたみたいですし、いい興行だったと思います。

――秋山選手は日本と変わらないファイトを披露したそうですね。

 正直、お客さんの反応は微妙だったと思うんですよ。ただ、どういう微妙かというと、お客さんがたぶんああいう試合を見たことがないので、リアクションが取れなかっただけなんです。シビアな攻撃をしていましたけど、そういうのは伝わってましたし。他の試合は全てメキシコのルチャ・リブレで、その中でいきなりああいう試合が始まったので、お客さんは見入っていたんだと思います。

――興行のアクセントとしては凄くいい形だったと。

 はい。全部が全部同じ試合じゃ面白くないので。

――全日本プロレスに定期参戦するようになって、約2年半経ちました。全日本マットにもすっかり馴染んできましたね。

 全日本の木原(文人)リングアナは友人なんですけど、彼と僕の中でいつか仕事をしたいという夢をずっと持っていたんですね。ただ、実際の仕事と友情関係は別じゃないですか。だからなかなか実現しなかったんですけど、全日本プロレスの体制が変わった時に「参戦してくれないか?」という話があって。最初は断ったんです。年齢的にも僕は辞めていく選手ですし、そろそろフェードアウトかなという気持ちもあったんです。ただ、その時に金丸(義信)とか、青木(篤志)とか、鈴木鼓太郎とか、僕から見ると若い選手たちがジュニアを引っ張っていて、僕のやる試合とは違うスタイル……全日本からノアに引き継がれた向こうのジュニアのスタイルでやっていたから、これも面白いなと思って。

――それで継続的な参戦を決意されたと。

 それで、「もう1回気合いを入れ直して練習しよう」とトレーニングを再開しました。やっぱり巡業に出て試合をこなすことによって、自分の中で意識が変わり、体も何か若返ったんじゃないかなと。こんなことを言うと選手のみんなには申し訳ないですけど、自分にとって最高のアンチエイジングになったんじゃないかなって。本当にこれはお金のためだけじゃなくてね。その場にいることが大事なんで。よく「バス移動とか大変なんじゃないですか?」って言われるんですけど、みんなとバスの中でいろんな話をしたり、サービスエリアでご飯を食べたりするのも楽しいんです。

お客さんはレスラーの立ち姿を観ている

――実際に参戦するようになって、全日本プロレスのスタイルをどう感じました?

 自分が体感するのはジュニアですけど、ヘビー級はやっぱり老舗団体だなと思います。他の団体でもヘビー級の試合は見ますけど、全日本プロレスのヘビー級は違いますよね。それはなぜか分からないんですけど。今はいろんな団体の選手が出ているじゃないですか。でも、他の団体から来ても、あのリングでヘビー級の大一番があると、なんか重く感じるというかな。それはちょっと言葉で説明が付かないんですけど。

――ジュニアヘビー級に関してはどうでしょう?

 これはどこの団体にも言えるんですけど、昔のジュニアの流れから変わったなって。良いか悪いかは分からないですけどね。判断するのはお客さんなんで。ただ、全日本のジュニアに今必要なのは、強烈なオーラを放つようなスター選手だと思います。それはどんなスタイルだっていいんですよ。空中殺法じゃなくても関係なく。

――渕正信選手のような大ベテランとウルティモ選手が並んでいるのも不思議な感覚がします。

 もともと渕さんともずっと仕事をしたかったんですよ。あの絡みができるのは、たぶん僕と井上雅央ぐらいじゃないかなって(笑)。

――全日本マットでは今、宮原健斗選手が三冠王者として日に日に成長を見せています。

 でも、健斗はまだまだ改善の余地があると思います。まだまだ彼はもっと上に行く選手ですよ。まだまだ上に行けます。健斗は自己顕示欲が強いじゃないですか。大人しい選手もいますけど、これは悪い意味じゃなく、リングに上がったらやるかやられるかだから、自分が一番目立っていいんですよ。

――最近のウルティモ選手の試合を見ていると、やることをすごく抑えていて、基本は定番の動きを見せているのだけれど、どの団体のどんなシチュエーションでも声援を集めている印象があります。初めてプロレスを見るお客さんの目も惹きつけられるというか。

 若い選手には理解できないかもしれないですけど、お客さんはリングに上がったレスラーの、もちろん技もそうなんですが、立ち姿とかそういうものを観に来ているんですよ。なのに、あんまりバタバタ動いたら、お客さんがジーッとリングを見れないじゃないですか。あとはみんな見た感じ、プロフェッショナルに見えないというか。ちょっと悪い言い方ですけど、アマチュアの選手が趣味でプロレスをやっているみたいに見えると思うんです。昔だったらみんなカッコ良かったじゃないですか。馬場さんや猪木さんはもちろん、佐山先生もマスカラスもリングに上がったらみんなカッコ良かった。でも、今はそういう人が少ないですね。

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