日程から考えるハリル日本の“第二段階” 予選突破とロシアW杯に向けた強化の融合

河治良幸

欧州組と国内組で異なるチーム合流日

欧州組と国内組でチーム合流日が異なる点は注意が必要だ 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 アウェー対策やコンディショニングに関してはもちろん最終予選の経験を本大会につなげられる部分もあるが、レギュレーションやプレー環境の違いがある。ただ、ここは小さなミスが大きな失敗につながりかねないので、とにかく試合に万全の状態で臨み、良いパフォーマンスを発揮できるように備えていくしかないだろう。

 ただ、そこで1つ難しいのが欧州組の合流時期だ。最終予選は基本的に国際Aマッチウィークの木曜日と火曜日の2試合で1セットになる。そこで例えばホームの試合が木曜日にある場合、日曜日に所属クラブの試合があり、そこから移動となると2日間しか準備ができない。そうすると無理に試合に出しても本来の能力を発揮できず、けがのリスクも大きくなってしまう。そこで木曜日にホームで行われる試合は、国内組か月曜日に合流できた選手がその試合に向けた主力として考えられることになる。これは第1節のUAE戦(9月1日)や第3節のイラク戦(10月6日)が該当する。

 逆に、欧州組が短時間で合流しやすいのは中東のアウェーが木曜日に行われるケース。来年3月23日のUAE戦は欧州組の方が早く合流しやすく、日曜日に試合を行った選手でも月曜日の夕方までには十分に間に合う。そこから日本に戻り、火曜日にホームでタイ戦を行うことになるが、UAE戦を欧州組が主体で戦い、タイ戦はコンディションを見ながら国内組が多めに出場するといったある程度の使い分けも有効になるのではないか。

 そうした事情も踏まえて、完全に固定化したメンバーで最終予選を戦い抜くことは考えにくいが、それをポジティブに捉えて予選を勝ち抜きながら、同時にオプションを増やし、選手層を厚くできれば先にもつながる。

 改めて全日程を見通してみると、16年に行われる5試合を前半戦、来年の5試合を後半戦とすれば、明らかに後半戦の方が厳しいカードになっている。前半戦はホームが3試合あり、アウェーには移動距離がそれほど長くないタイが含まれている。逆に後半戦は3試合のアウェーがあり、UAE、イラク(政情不安のため中立地の見込み。2次予選の経験からイランのテヘランが有力)、サウジアラビアと中東で固められているのだ。

 もちろんチームの成長を考えれば、後半戦でもしっかり勝ち点を積み重ねられると期待したいが、前半戦にどれだけ勝ち点の貯金を作れるかがW杯出場を決めるためにも重要になってくる。なるべく早く最終予選の突破を決めてW杯に向けた強化を前倒しするためにも、スタートダッシュが大きな意味を持ってきそうだ。

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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