新日本プロレス・木谷高明オーナー 「WWEの上位概念を覆したい」
新日本プロレスの木谷オーナーに、プロレスビジネスとしての新日本プロレス今後の展望などを聞いた 【スポーツナビ】
第1回は、2012年1月に新日本プロレスを子会社化し、大々的なプロモーション活動から人気回復への道筋を作った新日本プロレスのオーナーであり、株式会社ブシロード代表取締役社長の木谷高明氏。2015年までのビジネスとしての成果、そして今後の目標や展望などを語ってもらった。(取材日:2月10日)
昨年のG1で最初のピークを迎えた
観客動員は昨年のG1でピークを迎え、ひとつの成果を出した 【横田修平】
現実的には、昨年の夏でいったん東京、大阪の大都市圏での動員はピークを打ちました。そこから横ばい状態ですが、今でも地方は増えています。
われわれがやらないといけないことは、ここからさらにもう1度、首都圏、大阪圏を含めての伸びを作ること。2番目のトレンドを作らないといけないですね。(新日本プロレスを子会社化してから)約3年半でピークを付けたので、今はそこからの調整期間に入っている状態です。
今回、中邑(真輔)選手やAJ(スタイルズ)選手らの退団もありましたが、ここで(動員の)底を打ち、新しいトレンドを3月3日の東京・大田区総合体育館大会から作るという段階ですね。
グループ会社になったのが2012年1月31日。今回の中邑選手の退団の日がちょうど一緒で、丸4年になります。ですから、ここからもう一回、今も回復基調ですけど、上昇トレンドに乗せていこうという最中です。
――この4年の間にピークを迎えられたのは、オーナーとして成功と見ていますか?
そうですね。
――一方で、2015年は「プ女子」という単語も生まれるなど、ブーム的な部分がありました。それでも、昔に比べるとまだまだプロレスが浸透していない印象があります。
若い人には届いていないですね。一部、情報を積極的に追いかけてくれる若い女子ができたかもしれませんが。
2年前ぐらいですが、東京大学で講演をする機会があり、300人近い学生が話を聞いてくれましたが、「プロレスを生で見たことがある人」と聞いたら、2人ぐらいしか手が上がりませんでした。テレビ、DVD、ネット等何らかの形でプロレスの映像を見たことがある人が10%でした。つまり、2005年からの“暗黒時代”の時に小学校高学年だった子たち、今の10代から25歳ぐらいまでの人は、プロレスに接していないんですよね。この世代は、まだまだ(プロレスファンの)開拓は全然です。
――最近はCMなどによるプロモーションも積極的にされていますが、それでもまだ届いていない?
もちろん、今の小学生にはオカダ(・カズチカ)選手の知名度は高いと思います。そこの差が開いているので、それが直接的か間接的かは別として、もっと10代、20代に刺していくようにしないとダメですね。
来年の東京ドームで過去最高に
今年の1.4東京ドーム大会は、平日開催の影響もあったが大健闘の動員。来年は「最低でも3万人」と話す 【横田修平】
月曜日だっということもありますよね。前年が日曜日で、一昨年が土曜日でしたし。あと年末に「RIZIN」がさいたまスーパーアリーナで2回開催していますので、そこを加味すると、大健闘だったと思いますね。
ただ大事なのは、ここから第2のハードルに移って、来年の1.4までは約11カ月ありますが、ここで過去4年間を含めて、過去最高にしないといけないなと。絶対3万人は入れないとダメですよね。
――3万人が最低ライン?
そうですね。今年の120〜130%増はしないといけないということです。
それには首都圏や大都市圏の動員を増やすことももちろん、地方を丹念に増やしていくことが大事だと思います。地方で会場に足を運んでくれる人たちが増えれば、その人たちが「1.4は東京に行きたい」となるじゃないですか? ですので、地方で見てくれる人が増えることが大事だと思います。
あとはワールド(※動画配信サービス「新日本プロレスワールド」)の会員数をどこまで伸ばすかですよね。配信に入ってくれている人は、常に情報に触れてくれている人ですから。
――実際、ワールドに関しては、会員数も増えてきていると聞いています。手ごたえとしてはいかがでしょうか?
まだまだですね。先日、一度は3万5000人までいきましたが、まだまだです。早く5万人ぐらいまで達してほしいです。ですので、今年のG1までには5万人を目指したい。現状のプロレスファンで見ると、10万人ぐらいは見込めると思いますが、後は海外も開拓していければと思っています。