澤穂希「心と体が一致しなくなってきた」 現役引退に関する記者会見

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引退会見に臨んだ澤。「悔いのない、最高のサッカー人生だった」と振り返った 【宇都宮徹壱】

 16日に2015シーズン限りでの現役引退を発表したINAC神戸レオネッサの元日本代表MF澤穂希が17日、都内で記者会見を行った。

 笑顔で登壇した澤は、引退を決意した理由を「心と体が一致して、トップレベルで戦うことがだんだん難しくなってきたと感じたから」と説明。「人生最大の決断となりましたが、やり切った最高のサッカー人生でした」とコメントした。また、「今まで苦しいときも一緒にやってきた仲間のことを思うと、胸がいっぱいになります」と涙ぐみながら話し、「本当に最高の仲間が近くにいてくれたから頑張れた」と自身のサッカー人生を振り返った。

去年から自問自答を繰り返してきた

 この度、澤穂希は今季をもちまして現役を引退することを決断致しました。一番の理由は心と体が一致して、トップレベルで戦うことがだんだん難しくなってきたと感じたからです。人生最大の決断となりましたが、悔いのない、やり切った本当に最高のサッカー人生でした。残りは、皇后杯が最大で3試合残っています。今までたくさん応援してくれた皆さんに、感謝の気持ちを込めて精いっぱいプレーし、サッカー選手・澤穂希として、最後の生き様を見せたいと思います。今まで応援してくれたすべての方々に感謝したいと思います。皆さん、長い間本当にありがとうございました。

――感極まる場面もあったが、今の気持ちは?

 長い間サッカーを続けて、たくさんのことを経験しました。本当に悔いはないし、やり切った。最高のサッカー人生だったという心境です。

――引退を決めた時期は?

 去年から現役を続けるかどうか、自問自答を何度も繰り返してきました。その中で、主人に背中を押してもらい、サポートしてもらいました。お付き合いして、結婚をしてからのこの一年は本当に頑張れたと思っています。今年のワールドカップ(W杯)を終えてから、悔いなくやり切ったと思える瞬間があって、その頃から(現役は)今年いっぱいかなと思いながらここまできました。

――引退を決めたのはW杯のあと? それとも終える前から考えていた?

 昨年、代表を外れた時期からいろいろなことを考えて、体も心も一致してトップレベルを保つのは難しいのかなと自分自身が思っていたので、今年一年かなという思いでした。

――まだまだプレーできると思うのだが、思い描くトップレベルのプレーをするには具体的にどこが足りない?

 11年のドイツW杯の頃と比べると体の疲れが取れなかったり、気持ちの面でも、上を目指す中で難しい一面が出てきました。

――結婚と引退は関係あるのか?

 まったくないです。結婚していようがそうでなかろうが、この決断には関係なかったと思います。逆に、主人が支えてくれたので、この一年を頑張れたと思っています。

――INAC神戸は皇后杯が残っている。発表をこのタイミングにした理由は?

 皇后杯が終わってから伝えるのは寂し過ぎるので、皇后杯の前に伝えたいと思いました。動揺させてしまう部分もあったかと思いますが、皆と共通意識を持ってやりたかったですし、このメンバーで皇后杯で優勝するために、このタイミングで発表させていただきました。

――残りは最大で3試合。どんなプレーを見せたいか?

 一試合一試合、持っている力をすべて出し切って、応援してくれたすべての人に感謝の気持ちを込めてプレーします。澤穂希らしい泥臭いプレーであったり、最後まで諦めないひたむきなプレーを見せることができたらいいと思います。

――ゴールも見たいが?

 意識しすぎるとうまくゴールはできないので、まずはチームの勝利に貢献できるように。その中で得点ができればうれしいです。

――引退後のライフプランはどのような青写真を描いている?

 今後については、皇后杯が終わって少しだけ体と心を休ませてから。サッカーはもちろん、日本のスポーツ界や世界で活躍できるような、澤穂希にしかできない仕事をやっていけたらと思います。そして子どもが大好きなので、女子サッカーの底辺を広げるためにも、普及であったり、子どもたちに夢を与えられるような仕事ができればと思います。

――将来的には指導者も頭の中にはある?

 現役中は指導者はないと思っていました。今後は、もしかしたら指導者をやりたいという気持ちになるかもしれないですし、その時の気持ちを大事にしたいと思います。

――報道ではサッカー協会の重要なポストも候補に挙がっていたが?

 まだ直接お話はいただいていないので……。今後、何か自分にできることがあれば考えていきたいと思います。

――リオデジャネイロ五輪まで現役を続けるのではないかと思っていた。リオ五輪での関わり方などは考えている?

 今の時点ではまだ分からないです。何か自分にできることがあれば、協力できたらと思います。

なでしこジャパンは家族のような存在

――引退を決めるにあたって、ご主人は何か言っていた?

 現役を続けるのであれば変わらずにサポートしてくれると言っていました。最終的に決めるのは自分なので、引退を伝えてからは「最後の皇后杯では感謝の気持ちを込めて、澤穂希らしいプレーをしてほしい」と言ってもらいました。

――澤選手にとって、なでしこジャパンとは?

 人生の半分以上をなでしこジャパンでプレーしたので、家族のような存在です。

――長い現役生活を振り返って、自分自身に声をかけるとしたら?

 自分自身に「長い間お疲れ様でした」という一言です。

――澤選手に憧れる子どもたちや、アスリートにどんなメッセージを送る?

 自分が経験したように、悔いなく、納得がいくように選手生活を楽しんでほしいと思います。

――現役時代にたくさんの応援をくれたサポーターにメッセージを。

 ここまで私がサッカーを続けられたのはファンの皆さんや応援してくれた方々のおかげです。家族をはじめ、たくさんの方々に支えられて今の自分があると思っています。「本当にサポートしていただき、ありがとうございました」と言いたいです。

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