澤穂希「心と体が一致しなくなってきた」 現役引退に関する記者会見
自分のサッカー人生に満足と言うより納得
一番の良い思い出を問われた澤は「ドイツW杯で優勝したことは本当に忘れられない1日」とコメント 【宇都宮徹壱】
辛かったのは、04年のアテネ五輪のアジア予選で、北朝鮮戦に勝たないとアテネ五輪に行けないという大事な試合のときに、私自身ひざのけがをしていて、出場が危ぶまれていた時です。本当に心も体も、ストレスでじんましんができたりと大変でした。
最高だったのは、皆さんも記憶に新しいと思いますが、11年のドイツW杯で優勝したことが日本女子サッカーの歴史を変えた日でもあるので、私にとっても、日本女子サッカー界にとっても本当に忘れられない1日だと思います。
――ロンドン五輪は米国に敗れて惜しくも銀メダルという結果だった。リオ五輪でリベンジしたいという気持ちや悔いはあるか?
まったくないです。
――ここまでのサッカー人生を振り返って、一言で言うと?
最高のサッカー人生でした。
――先ほど言葉を詰まらせたときに何を思い出したのか?
昨日もそうですが、引退を発表する時に、チームメートの顔を見たり、思い出したり……。今まで苦しいときも一緒にやってきた仲間のことを思うと、胸がいっぱいになります。
――その仲間であり、ライバルでもあるアビー・ワンバックも先ほど引退試合を終えたばかりだが?
ワンバック選手は昔からの戦友でもありますし、引退も同じタイミングになりました。やはり何かの縁を感じます。
――「いつか満足感を得ることができたらその時が引退の時」と言っていた。その満足感は得られたのか?
満足と言うより、もう納得です。
――その充実感や満足感を子どもたちに伝えるとしたら、どんな魅力を伝えたいか?
良いときばかりではないが、サッカーの楽しさや喜び。仲間と同じ目標に向かう苦しさや楽しさを、一緒にプレーして触れ合って伝えていけたらと思います。
最高の仲間がいてくれたから頑張れた
自分も経験して思うことは、結果がすべてだなと。来年2月にもリオ五輪のアジア予選がありますし、その大会は本当に大事な大会になってくると思います。なでしこの選手たちには、リオに行って金メダルを取ってもらえるように、本当にそれしかないと思っています。
――また今後の女子サッカー界に必要なことや課題はどんなことか?
私が今所属している神戸では、完全にプロとしてお昼から練習させてもらっています。そういうチームが一つでも多くできることが良いと思いますし、それが今後の課題だと思います。
――周りから見られている無敵な印象の澤穂希と、ご自身で感じている本当の澤穂希に違いはあるか?
自分自身では分からないです。着飾ることもできないですし、そのままの自分だと思います。
――先ほどは満足と言っていたが?
W杯の優勝・準優勝、五輪の銀メダル、そして日本人が誰も取ったことがないバロンドールも取ったので、本当に自分のサッカー人生に納得できました。
――選手生活で一番の支えとなったものは何か?
ひとつではないです。でも、やはり仲間ですかね。仲間がいなければサッカーもできないですし、自分のプレーも生かしてもらえない。辛いときに支えてくれたり、楽しいときはみんなで笑ったり、本当に最高の仲間が近くにいてくれたから、頑張れたサッカー人生でした。
――仲間や後輩に望むことは?
今後も女子サッカーが輝きのある場所であってほしいと思うので、変わらずみんなのひたむきさや一生懸命戦うところ、そしてしっかり結果も出してほしいと思います。