高田本部長が語る「RIZIN」への期待 「世界に通用するイベントに」

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8年のブランクを経て再び統括本部長に

PRIDEの消滅から8年、再び格闘技界に熱を呼び覚ますため、高田延彦統括本部長が動き出す 【スポーツナビ】

 年末の12月29日、31日に行われる格闘技のビッグイベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND−PRIX 2015 さいたま3DAYS」。日本の総合格闘技の火付け役となった『PRIDE』の系譜を受け継ぎ、8年のブランクを経て、再び格闘技ファンを熱狂へと導くため、年末に第1回大会を開催する運びとなった。

 このイベントで統括本部長を務めることになったのが、『PRIDE』創始者のひとりである高田延彦氏。1997年10月の「PRIDE.1」では、ヒクソン・グレイシーと対戦し、そこから日本の総合格闘技の礎を築いた。

 2003年からPRIDE統括本部長として活動し、中継の解説だけではなく、開会宣言のパフォーマンスなどでも話題を呼び、2007年の大晦日に行われた「やれんのか!」においても、統括本部長の役割を全うしている。

 そして再び、『RIZIN』の統括本部長として格闘技界に戻ってきたが、この話が具体的になったのが昨年の11月だったと言う。
「榊原(信行実行委員長)さんとは、会うたびに『やろう』という意志確認はしていた。チャンスと感じたらアクションすると。昨年の11月に呼び出された時に、『時は来た』と。(統括本部長を務めることに)迷いはなかった」

 事実上、『PRIDE』が消滅してからの8年間、高田統括本部長が感じていたのが“PRIDEロス”。格闘技界から離れていたので「全然、アンテナを張っていなかった。」と話す。それでも『RIZIN』として再び動き出したことで、格闘界への興味がどんどんと甦ってきており、「選手たちが戦いの中で、どんな芸術を見せてくれるか、楽しみにしている」と新イベントに期待している。

トーナメントへの期待

RIZINの中軸となる8人トーナメント。「この名も無きファイターたちの戦いから、新しい渦が巻き起こる事を強く願っている」 【スポーツナビ】

 今回のイベントにはそれぞれサブタイトルが付されることになり、29日が「SARABAの宴」、31日は「IZAの舞」となる。

 29日は8年前に止まった『PRIDE』の時計を一度だけ動かし、過去のイベントへの“レクイエム”として、時代の幕引きを正式に行うことになる。そして31日の大会では新しい時代の幕開けとして、同じ会場ながら、新しいムーブメントを作り出す大会へと生まれ変わる。

 このイベントにおいて、高田統括本部長が未来への“鍵”として挙げるのが「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND−PRIXトーナメント」。世界各国の団体から送り出された8人のトップファイターが、29日に1回戦、31日に準決勝、決勝と戦い、チャンピオンを決める熱い戦いが繰り広げられることになる。

「ここには、日本で無名ながらも若くて強いファイターたちがラインナップしている。彼らがどんな試合をするのか、どんな結末を迎えるのか、それが『RIZIN』の鍵になる。もちろん、そこに盛り上がりが確約されているわけでもないが、この名も無きファイターたちの戦いから、新しい渦が巻き起こる事を強く願っている」

 過去には“ビースト”ボブ・サップが鮮烈なデビュー戦で、ファンの度肝を抜いたように、新たなスターの誕生に期待している。

「試合は生ものだからどんなものになるか分からない。それこそ(エメリヤーエンコ・)ヒョードルやヴァンダレイ(・シウバ)、ミルコ(・クロコップ)だって、初めて日本に来た時は無名の選手だった。そこからブレークしていったのも事実。今回のトーナメントも同様です。この一発勝負で己の人生を変える。一躍スターファイターになれる大舞台なんだとファイターたちは高いモチベーションで臨んでくるでしょう。一体誰が大化けするのか非常に楽しみです」

「アーセンvs.クロン」は格闘技界の未来

アーセンvs.クロンは「山本一族vs.グレイシー一族」の戦いでもあり、“格闘技界の未来”を担う戦いでもある 【長谷川亮】

 また高田統括本部長は、既報対戦カードの1つにも注目する。それは「山本アーセンvs.クロン・グレイシー」の一戦だ。

 山本アーセンは、ミュンヘン五輪レスリング日本代表の山本郁榮を祖父に持ち、母は元世界チャンピオンの山本美憂、叔父は総合格闘家の山本“KID”徳郁という一家の中で育ったサラブレッド。さらに対戦相手のクロン・グレイシーも“グレイシー柔術”として最強の名を誇ったブラジリアン柔術一家にあり、その中でも最強と呼ばれたヒクソン・グレイシーの息子。「山本一族vs.グレイシー一族」という構図であるとともに、若い2人の戦いには“格闘技界の未来”を担う戦いでもあると話す。

「(2人の対戦は)家族の誇りを背負っての戦いとなるが、この試合がその第1章。この後にアーセンが五輪に出場したり、クロンが格闘家として充実期を迎えてゆく中で、2年後、5年後、10年後に、第2章、第3章と2人の戦いが展開していくと面白い。それが『RIZIN』の歴史にも重なっていくでしょう」

 アーセンが19歳、クロンが27歳と、格闘家としてはこの先10年は進化成長していける2人。その成長とともに相見えることで、格闘界の未来を担っていくことになる。そしてその第1章が今回の初対戦となるのだから、注目度は高くなるだろう。

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