アメリカズカップを熟知する乗員たち 求められる若く優秀な日本人クルー
悲願達成を目指す艇長
スキッパーを担当し、艇の舵の操作とコース取りなどのレース戦略において最重要な決定を行うディーン・バーカー(手前) 【(C)Matt Knighton/SoftBank Team Japan】
ワールドシリーズは現在3大会を消化。日本から参戦しているソフトバンク・チーム・ジャパンは総合で6チーム中5位という成績だ。次戦のスケジュールは現時点では未確定のため、期間が空いており、現在は各チームともベースキャンプでトレーニングなどを行っている状態だ。
ワールドシリーズには、「AC45F」という艇種が採用されている。AC45Fは2つの艇体を横に並べた双胴艇(カタマラン)で、5人のクルー(乗員)で操作する。クルーにはスキッパー、ジブトリマー、ウイングトリマー、グラインダー、バウマンと5つのポジションがあり、それぞれがキッチリと役割を果たし、かつ各乗組員の連携を高めることが艇のスピードを向上させるキーポイントとなっている。
ソフトバンク・チーム・ジャパンで実際にレースに出場するセーリングクルーとして登録されているのは現在5名。そのなかでスキッパー(艇長)を担当し、艇の舵の操作とコース取りなどのレース戦略において最重要な決定を行うのが、ニュージーランド出身のディーン・バーカーだ。
ディーンは1995年に、チームニュージーランドの一員としてアメリカズカップに参戦。2000年の大会では、同じくチームニュージーランドで最終戦の舵をとり見事に勝利した。ディーンは当時26歳で、史上最年少のアメリカズカップウイナーとして、さらにはセーリング界の若きスターとして注目を集めたセーラーだ。その後もチームニュージーランドの中心メンバーとしてアメリカズカップに参戦。2003年大会では残念ながらスイスチームに敗れたが、以降もほとんどの大会で本戦まで進出している。2013年大会ではあと1勝で優勝という状況まで勝ち進むも、アメリカチームに逆転負けを喫した。アメリカズカップ奪還という悲願達成を、ソフトバンク・チーム・ジャパンで目指している。
役割がクロスオーバーすることも
この3つのセールをコントロールするポジションが、ジブトリマー、ウイングトリマー、グラインダー(編注:ウインチと呼ばれる巻取り機を使いシートを引き込む)。ジブトリマーはニュージーランド出身のジェレミー・ローマース、ウイングトリマーはイギリス出身のクリス・ドレーパー、グラインダーはニュージーランド出身のデリク・サウォードが担当している。
クリス・ドレーパー(写真)含め5人ともアメリカズカップ参戦チームのクルー経験者だ 【(C)Matt Knighton/SoftBank Team Japan】
ジェレミーとクリス、デリクの3人ともアメリカズカップ参戦チームのクルー経験者。特にジェレミーとデリクはチームニュージーランドに所属していたこともあり、スキッパーのディーンとのコンビネーションも抜群だ。