【2025年初陣!!】川崎公式なのにどこよりも詳しい(!?)浦項スティーラーズプレビュー
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リーグステージでは2試合を残して4勝2敗の勝点12とし、東地区12チーム中4位に位置する川崎フロンターレ。長谷部茂利監督体制の初陣となる2月11日(火)のMD7では、韓国の浦項(ポハン)スティーラーズとアウェイで相まみえる。
2009年のグループステージ以来、16年ぶりにACLで対戦する両チーム。蔚山(ウルサン)HD FC、光州(クァンジュ)FCに次ぐ韓国勢3チーム目となる浦項はどんなクラブなのか、その歴史やチーム状況を紹介しよう。
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韓国で最も長い歴史を持つプロサッカーチーム
韓国南東部に位置するホームタウンの浦項市は、クラブの親企業POSCO(旧・浦項製鉄)を中心に工業都市へと発展した企業城下町。そのこともあってか、クラブは「鋼鉄戦士(カンチョル・チョンサ)」の愛称でも親しまれている。
今回の試合会場となる本拠地・浦項スティールヤードは、1990年に韓国史上初のサッカー専用スタジアムとして開場。さらには韓国プロサッカーチーム初の傘下ユース立ち上げ、クラブハウス建設など、現在の韓国サッカーの礎を築いてきたクラブと言って良い。
主な獲得タイトルには、Kリーグ優勝5回(1986、1988、1992、2007、2013年)、コリアカップ優勝最多6回(旧FAカップ/1996、2008、2012、2013、2023、2024年)などがある。Kリーグでは2部降格はもちろん、入れ替え戦に進んだ経験も一度もない。
ACLでは、前身のアジアクラブ選手権時代含め3回(1996-1997、1997-1998、2009年)の優勝経験を誇る。直近の最高成績は2021年シーズンの準優勝で、当時はセレッソ大阪や名古屋グランパスら日本勢、Kリーグのライバル蔚山を破り決勝進出。決勝ではサウジアラビアのアル・ヒラルに0-2で敗れ戴冠を逃したが、浦項が韓国勢最後のACLファイナリストとなっている。
フロンターレが浦項スティールヤードで戦うのは2009年3月18日以来16年ぶり。浦項はこの年のACLで優勝した 【(c)KAWASAKI FRONTALE】
何より、川崎フロンターレのGKチョン ソンリョンも浦項が輩出した名選手の一人。2003年に高卒ルーキーで加入した後、しばらくは当時の韓国代表GKキム ビョンジに阻まれ出場機会を得られなかったが、2007年には主力としてクラブ5度目のKリーグ優勝に貢献した。以降は城南一和天馬(ソンナム・イルファ・チョンマ/現・城南FC)、水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスを経て、40歳となった今もフロンターレの守護神として欠かせない存在となっているのは言うまでもない。
また、日本人選手では唯一、フロンターレOBの岡山一成が2009~2010年に浦項でプレーした。2009年夏に浦項へ加入した岡山は、同年のACLでは試合出場こそなかったものの優勝メンバーの一員に。クラブワールドカップでは3位決定戦でゲームキャプテンを務めるなどし、チームの3位入賞に貢献している。
昨年はリーグ戦で6位も、コリアカップ優勝
引退後は浦項のコーチとして指導者の道に進むと、韓国代表コーチとして2010年南アフリカワールドカップベスト16、2011年アジアカップ3位などを経験。以降は中国の延辺富徳や中国女子代表Bチームの監督を歴任し、直近ではKリーグを主管する韓国プロサッカー連盟で技術委員長を務め、ACLに出場した韓国勢に対戦相手の分析資料を提供するなどサポートした経歴もある。ちなみに、チョン ソンリョンとは浦項と韓国代表のコーチ時代に共に戦った間柄である。
現役時代には韓国代表として11試合7得点の実績を持つパク テハ監督。2000年4月26日の日韓戦にも出場した 【(c)AFC】
今冬は昨季Kリーグ1で年間ベストイレブン候補になったFWチョン ジェヒ(→大田ハナシチズン)、U-20韓国代表FWキム ミョンジュン(→ヘンク/ベルギー)などが移籍したが、キャプテンのブラジル人DFヴァンデルソンやオーストラリア人DFジョナサン アスプロポタミティス、ブラジル人FWジョルジなど既存の外国籍選手が残留。MFキム ジョンウやFWキム インソン、DFシン グァンフン、GKユン ピョングクなどの主力も再契約を発表した。近年はオフのたびに主力が引き抜かれる“草刈り場”となっていた浦項だが、今季は例年よりも比較的戦力が安定した状態にある。
DF登録ながら今大会2得点のヴァンデルソン 【(c)AFC】
身長172cm、体重64kgと体格もフロンターレのレジェンドに近い浦項のジュニーニョ。決して大柄ではないがスピードと突破力に優れており、利き足の左足から放つ決定力の高いシュートも警戒すべきポイントだ。
背番号10を背負うのは元Jリーガーのペク ソンドン
現在33歳のベテランアタッカーは2012年にジュビロ磐田でプロデビューした後、サガン鳥栖、V・ファーレン長崎を渡り歩き、J1通算67試合5得点、J2通算45試合2得点を記録した。以降はKリーグ2の3クラブを経て2023年に浦項へ加入。当時32歳で初めてKリーグ1に挑戦すると、今回のACLEでは自身初となるアジアの舞台を戦っている。
そんなペク ソンドンは、チョン ソンリョンとともに2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得を経験。現在もお互いに韓国プロサッカー選手協会で理事を務めるなど縁が続いているだけに、2人のピッチ上での再会が見られるかも見どころだ。
磐田・鳥栖時代にはフロンターレとの対戦経験もあるペク ソンドン(写真右/2015年5月23日 川崎-鳥栖戦) 【(c)KAWASAKI FRONTALE】
はたして、長谷部フロンターレが浦項のジンクスを破る第一号となるのか。悲願の“アジア青覇”へ熱い戦いを期待したい。
(文:ピッチコミュニケーションズ)
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