U−18日本・坂井大将に宿る責任感 キャプテンとして前回大会の雪辱を誓う
またも痛感したアジアの怖さ
初戦のラオス戦では動きが硬く苦戦。選手たちはアジアで戦う難しさを痛感した 【安藤隆人】
試合後、坂井は険しい表情のままこう答えた。いくら格下が相手とは言え、慣れない場所、慣れない気候、そして独特の雰囲気が平常心を奪い、チームを狂わせていくことをよく理解していた。だからこそ、そうならないように未然に経験者として周りに伝えていた。しかし、いざふたを開けてみると、警告通りの状況になり、気がつくとそこに自分自身も飲み込まれてしまっていた。
「ミャンマー(で行われた前回大会)では僕らの方が多くのチャンスを作った。でもそれをモノにできず、ズルズル行った結果、相手に一発のチャンスでやられてしまった。いくらチャンスを作っても、決めきれなかったら意味がないし、時間が経つにつれて、どんどん一発の脅威が生まれてくる。ラオス戦も正直、それが怖かった。押し込んでいるのに、点が入らない時間が長かった。崩されて点を取られる意識はなかったけれど、『セットプレーでやられたら怖いな』とずっと思っていた。それが自分自身の中にも弱気を生んでしまった」
頭では分かっていても、そううまくいかないのがアジアの怖さであり、勝負の世界の怖さ。あらためてその怖さ、それをはね除けてチームをけん引していくことの難しさを、彼は知ることとなった。
オーストラリアとの大一番に挑む
ラオスに持ってきた責任感は、この経験でさらに大きくなった。チームは第二戦でフィリピンに6−0で勝利し、6日に行われる最後のオーストラリア戦に臨むこととなった。オーストラリアは日本と同じ2勝を挙げ、得失点差8、総得点も8とまったくの同率で首位となっている。もしこの試合に負けるようなことがあれば、各グループ2位のチームの中で、上位5チーム(編注:本大会の開催国であるバーレーンがグループ1位か、2位の上位5チーム以内に入ったら6チーム)以内に入らなければ、そこで敗退が決まってしまう。絶対に負けてはいけない大一番を、難敵と迎えることとなった。
「ゲームの流れをしっかりと見て、的確なプレーと声でチームを引っ張っていきたい。一次予選なんかで終われない。世界に行くために、絶対に勝ちたい」
チームの真価が問われるオーストラリア戦。チームの中央に君臨する頼もしきキャプテンが、その責任感をプレーに昇華させたとき。坂井大将はさらに大きな財産を手にするだろう。