死の淵から蘇ったU−19日本代表 本領発揮でU−20W杯出場権獲得に王手
U−19世代特有の難しさ
大胆な賭けに出た鈴木監督の采配が、チームに勝利をもたらし、日本は決勝トーナメントに進出した 【Getty Images】
元々、不調の要因はU−19世代特有の難しさにあった。昨年まではユースや高校の主力だった多くの選手がプロや大学の「1年生選手」になったことで出場機会が減少、チームを引っ張るようなプレーができなくなり、勢いを失った。そのため、固定されていたメンバーが最終的には一部変更され、短期間での再調整を余儀なくされていた。
初戦を勝って勢いに乗るのが理想のプランだったが、大会開幕を迎えたチームの状態は、さらに悪化していた。メンバーの融合が十分でない上に、従来の主力組がプレッシャーを受けて軒並み不調に陥ったからだ。
最悪の大会スタート
しかし、日本は初戦でいきなり中国に敗れた。開始25秒でPKを与えて失点という考え得る最悪のスタート。FW南野拓実(セレッソ大阪)が目の覚めるようなドリブルシュートを決めて同点に追いついたが、その後の決定機をことごとく外してリズムを失い、終盤に直接FKをたたき込まれた。
PKを献上した川辺、シュートを外し続けた左MF金子翔太(清水エスパルス)らは、いずれも本調子に程遠かった。金子は「個人的に何本か決めるチャンスを決められなかったのが一番悔しい。チーム全体でも攻撃のテンポが良くなかったし、組織的にボール保持をできているという実感はなかった」と肩を落とした。だが、この試合で見られたわずかな光が、次の試合の救いとなった。途中出場を果たしたMF井手口陽介(ガンバ大阪)、奥川雅也(京都U−18)はともにまだ高校生で年下のU−18世代だが、井手口は中盤で攻守に積極性を見せ、奥川は得意のドリブルでチャンスを作っていた。
さらに苦しんだベトナム戦
引き分けていれば、韓国が2勝して最終戦で中国が勝点を挙げた場合には、日本が最終戦を勝っても突破できないという状況になるところだった。しかし、長いアディショナルタイムに救われ、DF中谷進之介(柏レイソル)がCKからヘディング弾を決めて勝ち越し。さらにこの試合で先発した井手口がダメ押しゴールを決めて3−1と競り勝った。
井手口は「滑り込みでメンバーに入ったので元のチームの状態は分からない。でも、表向きにはみんな元気だけれど、プレッシャーがあるんだと思う」とチームの停滞感を語り、奥川も「試合がこう着状態だった。もうちょっと1対1を仕掛ければいいのにと思ったけれど、暑さや疲れもあったから……」と、先発組にしか分からない重圧に理解を示しながらも、チームメートの思い切りのなさを感じていた。