バスケ新リーグの階層分けが決定 1部は18クラブ、3地区制も導入
1部リーグ入りが決定した要因
会見には多くの報道陣が集まり、質問を投げかけた 【写真提供:JPBL】
大河(評価したポイントが)何点かあります。まず長岡市のアリーナについて。市長と行政の全面的なバックアップを得られることが確認できたということです。アリーナをどうするかが一つポイントだったと思いますが、それが得られました。新潟はサッカーに始まり、アルビレックスという同じ名前を使いながら、県内全体で盛り上げている、模範的な、チームに根差したスポーツクラブだと考えています。1カ月の間に、相当な数の署名をされたということ、スポンサー等々への積極的なセールス活動、そういったことをクラブと社長が中心にされたということも、高く評価しました。
――「大逆転したクラブ(があった)」とおっしゃっていたが、それはどのチームか?
川淵 大逆転があったのは横浜市です。市長自らが動かれたことと、有力なスポンサーがかつてなかった金額を拠出するということがありました。当初はまるで念頭に入っていなかったんですけれども、アリーナその他を含めて、上げるべきだということで、最後に大逆転がありました。
――レバンガ北海道が1部に入った理由について、アリーナに対する行政の支援、スポンサーの2つをおっしゃったけれど、優先度はどうだったのか?
大河 両方ありました。ただアリーナについては、良いアリーナが北海道はいくつかあります。どこがメインに使えるのかなという問題でした。一方で財政は行政でなくクラブそのものの問題です。クラブがどこまで努力して、頑張れるかというところがありました。小口の持株会の増資を積み上げていただける、オーナー企業が積極的にクラブを支援していくということを、いろいろな手段で確認させてもらっています。最終的には両方を評価したということです。
――富山グラウジーズを(1部入りの)ボーダーライン上にあったクラブから選んだ具体的な決め手は? 直近の動きをどう評価されるか?
大河 富山は6月のヒアリングのとき、川淵チェアマンから「1部は早いんじゃないか」と、正直言われていました。社長は挫けて帰られるのかなと思ったら、そのあと十倍くらい頑張られました。本当にきめ細かくいろいろなところを小まめに回られて、ファンクラブも増やしていかれた。選手出身の社長がいらっしゃって、チームを強化していく、選手の気持ちを受け止める……。そういったことも含めて、ちょっと毛色の違ったクラブ運営、経営をされるのではないかというところは、われわれの話し合いの中の一つの論点になりました。トータルで見た中で、期待値も込めて1部にしたということです。
――1部に入った富山グラウジーズにどんな期待をしているか?
川淵 富山は実際にbjリーグで9年間活動をしていますよね。それも一つの得点になりました。Jリーグの富山が3部だから、今度1部に入ったバスケットは、言ってみれば野球やサッカーのシーズンオフにやれる有利さも生かして、(富山は)バスケットどころでもありますよね。ぜひ日本海側のクラブが、日本でもトップクラスのプロチームを持てるというところを示してほしいです。
――滋賀レイクスターズは5000人収容のアリーナという条件に苦しみ、立見席をかなり多く計上してクリアをした。今後も新しいアリーナを作っていく活動が必要になるか? クラブライセンスの条件が変わると、1部にいられなくなる可能性が出るのか?
川淵 1部にいられなくなるというのは、弱かったらいられなくなるだけです。1部に入ったのなら、戦力が整っていれば問題ないということです。あと赤字が続かなければ。滋賀の社長はすごく熱心で、僕も滋賀県知事ともお会いしましたけれど、国体その他があって、新しいアリーナを作るという話の中で、草津市の体育館に予算を拠出してもらって増築できないかというようなことで、いろいろ努力されました。最終的には草津ではどうしても5000人確保できないので、滋賀県の体育館を使うということで、とりあえず今回は1部が決まりました。あれくらいの熱心さをもって、クラブの運営をしていけば、いずれ草津市に立派なアリーナを作ろうという動きにもなっていくだろうというくらいの情熱を感じています。ぜひ1部に残留し続けて、温泉の草津は有名だけど、バスケットの草津もあるということになるよう、皆さんも応援してください。
大河 一つ補足しますと、滋賀のアリーナは5000人中1000人が立ち見と聞いていて、他のチームに比べると圧倒的に立ち見の比率が高いです。今回はいいんですけれど、クラブライセンスの中でアリーナの基準を定めていこうと思っています。例えば立見席は入場可能数の2割以内にしてくださいとか、ホスピタリティー、安全性を考えると、そういったことを早晩決めていく可能性があります。そういったことも受けて、クラブ、行政と向き合っていきたいと思います。
2部リーグのクラブが持つ課題
大河 確かにアリーナの問題はありました。住民投票の問題もあったんですけれど、非常にアグレッシブな社長が茨城県下をくまなく回られて、できるアリーナがないか、前から模索されていました。そんな中で目処の立つところが出てきたということで、評価をさせてもらいました。水戸市も(ホームアリーナの)一つの候補だと思っています。
――島根スサノオマジックが1部に入れなかった要因をどう見るか? 1部参入に向けた課題は? 地元に対するメッセージもお願いしたい。
川淵 個人的には島根、広島のどちらか(1部に)決まってほしいなと思っていましたけれど、基本的には財政面のところでわれわれが設けたハードルをクリアできなかったということなんです。ただ、島根の場合は地域性という問題があって、クラブの存在としては必ずしも絶対額に頼らなくていいという場面も当然あると思います。今回の基準はそういうことでしたから……。こちらとしては残念な思いですし、最後はどうするかと手を挙げたくらいのこともありました。ぜひこれに挫けず、島根県初のプロクラブとして、成功して、1部で活躍できる日が来ることを心から願っています。
財源が2億5000万円に行かなくても強いチームができて、選手も納得する年俸を得られて、多くの選手がそこで育つというふうな、そういう環境ができれば1部に上がれることは間違いない。要はまず強力なチームを作るということに尽きると思います。
――西宮ストークスが1部入りを逃した理由は、どこがネックになったのか? 今の時点で来年上位になれば、1部に上がれる、クラブライセンスを取れるような段階なのか?
大河 西宮さんも最後の何チームで決めるかという中に、当然残っていました。例えば富山が入って、島根や西宮は残念だったという一つの判断基準の中に、幅広いスポンサー、支援者からたくさんの数を集めてこられたクラブと、オーナーがポンと出されるというクラブと、(どちらを選ぶべきか)かなり議論しました。特に地域型のクラブにおいては、たくさんの支援者がいる方がやはり最後は強いんじゃないかという、相対比較だとお考えください。決して西宮に1部の資格がないということではありません。新リーグが始まりますと、16−17シーズンの結果をもって、翌17−18シーズンに1部に上がる可能性が出てくるわけですね。そのためのクラブライセンスの判定は17年3月。秋から始まるシーズン半年前くらいに、それぞれのクラブが1部の資格があるのかどうか、2部の資格だけなのかという判定を、させてもらうことになります。
――広島ドラゴンフライズは1部入りを果たせなかったが、どの部分が弱かったかのか? 新しいチームということがマイナスになったか?
大河 広島はクラブとしてリーグ戦の経験が浅いことは、相対比較の上でマイナスには働いたと思います。一方で直近の15年の決算期における収入額が、まだまだ2億5000万円とはかなり差があるということでした。相当な努力がいりますよと。2億5000万円に対して、2億4000万円まで行っていますというクラブが2億5000万円になって財務を安定させていくという話と、1億円そこそこしかないクラブが倍以上に飛躍していくということでは、かなり難易度が違います。広島はもう一息だったけれど、そこまで突き抜けてスポンサー収入が増えていくという手応えが少し弱かったのかなと思います。
――岩手ビッグブルズは(1部入り当落線上の)最後の4チームに残ったということだが、1部入りのために足りなかった点は何か? 短い期間で(ファンクラブに)1万人入れるといって、それを達成したことの絡みは?
大河(1部入りができなかったことについて)申し訳ない、残念と思うクラブの一つです。1万人、毎日500人増やされたというところの努力には敬意を表するしかありません。一方で岩手さんはそこそこの収入基盤、財政基盤があった。債務超過の部分をどう解消するのかというある程度のシナリオはあるんですけれど、ここまでくれば確実というシナリオのところがもう一歩あればよかったと思います。あと収入面が島根さんなんかもそうですけれど、若干横ばいです。新潟、富山、横浜のように今回を機にぐっとスポンサーがついて盛り上がるというようなところが、比較の問題として足りなかったのかなと判断しています。
――信州ブレイブウォリアーズが1部でなく2部になった理由は? アリーナの問題もあったと思うが。
大河 信州は元々、千曲でやろうということがありつつ、最終的には長野市かなということで少しブレがあったと思います。社長を中心にまとまったクラブ経営はされていると思いますけれど、収入の伸びであるとか、16シーズンをどこでやるかという部分で、他の1部を狙うクラブに比べると劣後していたのかなということで、2部にさせていただきました。