バスケ新リーグの階層分けが決定 1部は18クラブ、3地区制も導入

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マーケティングでどれだけお金を確保できるか

川淵理事長は企業名の扱いについて「悩んでいる」とコメント 【スポーツナビ】

――NBLを見ると現状は12チームの戦力差がある。興行、強化を考えたときに18チームの中で拮抗した試合をどう実現するのか?

川淵 18クラブは確かに多いと思いますけれども、やはり選手が実戦経験を積んで伸びていくことも事実です。Jリーグも当初は10クラブが多いと言われましたけれども、今は(J1が)18ある。2部から代表に選ばれる選手もいるくらいです。僕は18クラブで日本人選手が出場機会を与えられて、伸びていってくれることは間違いないと思います。今までは相当な制約があって、日本代表選手が育ちにくい環境だったと思います。極端に言えばbjリーグには給料の問題があって、日本代表クラスの選手がほとんど行かない。その反面、企業中心のリーグには代表クラスの選手が行っていても、レギュラーとして活躍できない。サブで1年を過ごすなんていうのは、(成長の)機会を損失しているわけです。そういう選手が試合に出ることで、意外な伸びしろが出てくる可能性は十分にある。私としてはそこに期待しています。

――年間の売上2億5000万円が1部参入の条件として挙がっているが、そこはリーグからの分配金も含めた金額になるのか?

川淵 それは含めていません。マーケティングでどれだけリーグがお金を確保できるかが勝負なんですけど、可能な限り多く集めて、可能な限り多く各クラブに分配したいとは思っています。しかし、自立できる財源は大体この辺が目安だろうという感じです。2億4500万円ならアウトかと言ったらそんなことはないですね。ある種の目安です。ただ今回、リーグの統一をきっかけに、飛躍的に財政力は上がりましたね。ということは地域社会のスポンサー、行政サイドが全面的にバックアップし始めたから、各クラブの財政状態は大きく変わったということです。

企業名を入れることの是非

――93年のJリーグ創設時は、チーム名から企業名を外したいとはっきりおっしゃっていたが、今回の新リーグはトヨタ自動車、日立などの企業名が入っている。将来的にはどうしていくのか?

川淵 チーム名に関しては、Jリーグがスタートするときはいろいろと会社の立場は違いましたけれど、少なくともプロという形では活動していなかったから、プロとしてやっていくなら企業名は外しなさいよ、企業名でやっていたのではプロ野球に絶対勝てないという私自身の思いがあって、企業名を外したわけです。

 そういうことに対して全員が賛成したわけではなくて、チーム名としては三菱自動車浦和レッドダイヤモンズとか、チーム名に企業名が入っていたクラブが4つか5つありました。しかし、それを私がマスコミの皆さんに地域名+愛称で載せてほしいということでお願いしました。日本テレビと読売新聞だけは読売ヴェルディと書かれましたけれども、あとの会社はわれわれの要望を聞いていただいて地域名と愛称で書いてくれたんです。それが2年、3年後にチーム名から企業名を外そうというところに自然と移行していきました。

 今回はbjリーグがすでにあって、片一方で企業中心のリーグも活動している。企業は日本のバスケットボール界をそれこそ育ててくれたわけです。企業チームがなければ、日本のバスケットボールは代表選手も含めてなかなか強化できなかったと思います。企業名を外さないと一つのリーグにできないよというのであれば、今までの企業に対する恩義に報いることにはならない。そういう中で、企業名を入れた形で、どういうふうにしてマスメディアに扱ってもらえるか、これから検討していかなければいけないと思います。

 一番の問題は、全く企業名がついてないチームに、ある企業が3億円出すから企業名を入れてくれと言ったときに、そのクラブはお金をもらった方がいいから企業名を入れますよ、というようなことになる可能性はゼロじゃないということ。そこはしっかりした歯止めをかけなければならない。それと同時にいろいろなスポンサーを取るときに、例えばトヨタがメンバーだから、ホンダや日産やマツダがスポンサーになりにくい。日立にしろ三菱にしろ同じですよね。そういうことに対して、企業名が出ることに対して、われわれはクラブに対してどういう要求ができるのか。そういうことについて、これから検討をしていくつもりでいます。

 マスコミの皆さんに記事にしてもらうためにも、企業名がトヨタ東京と入った場合に、書きにくいから、東京と愛称だけにしてくれなんて言われる可能性がなくはない。しかしクラブとしては、トヨタから財政面のバックアップをしてもらっているのだから、企業名を出したいといったときに、どういうふうにして折り合うのか。チーム名に企業名を入れることは問題ないと認めた上で、(親会社が社会人チームのプロ化を)認めたわけですよね。次に愛称という形でいった場合に、どういう愛称をつけるか。チーム名をご覧になればお分かりになるように、長すぎますよね。千葉ジェッツくらいですよね、短いのは(笑)。こんな長いものを新聞が書くわけがないので。この辺もどういう略称、呼称にするのかも含めて、これから検討しなければならない。

 考え方はあるんだけど、Jリーグができたときのように企業名を全部外して、愛称と地域名だけにしなさいと言ったら、初めの約束を反故(ほご)にしたような印象を企業の方は感じられると思うんですよ。そういうことにだけはしたくないので、話し合って合意を得た上で最終的な愛称、企業名の扱いを決めていきたい。今は悩んでいる最中です。

――1部参入の大きな条件として5000人収容のアリーナを用意するというモノがあったけれど、東京に限っても5000人のアリーナは難しい状況だと思う。2部の3000人も行政から了解を得ていないところもあると思う。アリーナの収容人数では妥協もあったのか?

大河 確かに東京のアリーナ繰りは非常に厳しいと認識しています。一方で日立、トヨタに限らず、今回アリーナを新しく作ります、改修しますという首長さんのお話を踏まえて、5000人、3000人は判断しています。首長さんであるとか、企業本体から“これならいけるのではないか”という何らかの確証を得た上で判断しています。将来5000人になる望みは全くないのに、総合的に判断して1部に入れたということはしておりません。ただ以前にも申し上げたように、これは繊細な問題でして、どこの首長、どこの企業が何を言ったから認めたということは、せっかくできるものをストップさせてしまうリスクがある。そこはご容赦いただきたいなと考えています。

川淵 首長さんには本当に積極的に、前向きに、この問題について対応していただいたんですよ。盛岡の市長には一番初めに、アリーナを大きくすると言っていただいたし、初めの申し込みにも来ていただいた。今日は盛岡の人には、申し訳ないという思いでいっぱいです。クラブにはぜひ頑張って、市長のためにも1部へ上がってもらいたいと思います。

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