FIBAが日本への処分を正式解除 川淵会長「バスケ界の新たなスタート」

スポーツナビ

制裁解除が決定したことを発表する川淵会長 【スポーツナビ】

 国際バスケットボール連盟(FIBA)は9日、都内でセントラルボードを開き、昨年11月に資格停止処分を課していた日本バスケットボール協会(JBA)への制裁を解除することを正式に決定した。これにより日本代表はリオデジャネイロ五輪のアジア予選に男女ともに出場することが可能となる。

 解除決定後に会見に臨んだJBAの川淵三郎会長は「オールジャパンという体制だからこそ、このバスケットボール協会の改革ができた。これからがバスケットボール界の新たなスタートだと思う」と満足げな表情を見せつつも、気を引き締めた。今月の13日からは男女代表の国際親善試合が国内で行われる。川淵会長は「皆さんの期待に応えるべく、中身のある良い試合をしてほしい」と注文をつけた。

6カ月ですべてが解決した

登壇者:
[公益財団法人日本バスケットボール協会]
川淵三郎(会長)
大河正明(専務理事/事務総長)


川淵 皆さんにこんにちは。お休みのところお集まりいただきましてありがとうございます。(制裁解除が)決まるのが当然だということで、いつもより人数が少ない気がしますね(笑)。ほとんど報道されていなかったから、これだけの記者が来て下さることはありがたい。顔を真っ赤にして怒っているときはたくさんいらしたけれど、穏やかな顔は魅力がないのかな(笑)。

 さて、セントラルボードで今までの制裁が完全に解除されました。オールジャパンのバックアップがあって、6カ月ですべてが解決しました。これからがバスケットボール界の新たなスタートだと思います。やるべきことが山ほどあって、取り組むべきことはガバナンスとリーグの統一、代表強化と3つでしたけれど、どういう経過でここまで来たかを、こと細かく私が説明させていただきました。そして(FIBAの)ホラシオ・ムラトーレ会長が「皆さん拍手をもって承認しましょう」ということで、あっさり制裁を解除していただいた。ホッとしたような、(あっさり過ぎて)物足りないようなということで今を迎えています。

 バスケットボール協会は、今まで幹部の方の足の引っ張り合いがあって、協会としてまとまりにくかったんですけれど、多くの人たちの協力も得て、評議委員会が一斉に辞めていただくという決定をしたことも高く評価されました。「さすが日本人、組織の改革のためには自分の身を切って協力する姿勢がよく出ている」と会長も言っていた。そのへんがややこしくならず、良いスタートが切れたと思っています。

 いずれにしても文部科学省をはじめJOC(日本オリンピック委員会)、体協(日本体育協会)、日本トップリーグ連携機構にバックアップしてもらい、オールジャパンという体制だからこそ、このバスケットボール協会の改革ができました。いよいよ13日から男女の代表の国際試合が国内で開かれますけれど、皆さんの期待に応えるべく、中身のある良い試合をしてほしいなと。代表の試合を見るのは僕も初めてなので、非常に楽しみにしています。気合いの入った良い試合をしてくれればいいなと心から願っています。

東京五輪の出場は保障されていない

解除後の会見に臨んだ川淵会長(右)と大河事務総長(左) 【スポーツナビ】

――セントラルボードで2019年のワールドカップ(W杯)開催(編注:中国に決定)の発表があった。参加国が32に増えるということで日本にも十分チャンスがあると思うが、たとえ出られたとしても東京五輪での開催国での出場は保障されていない。実は開催国であっても出場できないというのがあると思うが、それをどのようにバスケ界全体に浸透させていこうと考えているか?

川淵 開催国の特権として予選なしで出られるというのは、ほとんどの競技団体がそうなので、バスケだけがそれと関係ないと、日本の皆さんはほとんどご存じない。世界選手権は(出場枠が)32ですか? 五輪は確か12ですよね。アジアからは2チームくらいなんですかね。今の実力から言うと、男子の場合はなかなか厳しい状況です。ロンドン五輪のときも、英国が同じような状況だったらしく、FIBAから「相当頑張らないと。主催国の特権として自動的に出られると思ったら大間違いだ」と、バスケ関係者が言われ、大変な努力をしたらしいです。なので、ヨーロッパの中でそれにふさわしい地位に上がって五輪に出たというわけでなく、努力の過程を一応は評価されて出たというふうに僕自身はうかがっています。

――英国の場合、特に女子は開催国が決まった段階でランクがなかった。ただ実際、6年で欧州選手権のファイナルラウンドを戦うレベルまで上げた。ただ今の日本男子の現状では、最低でも19年のW杯でベスト16までいかないと開催国での出場は難しいというのが個人的な認識だが……。

川淵 そういった認識は正しいと思いますけれど、今まで話を聞いている感じでいうと、「強化に関して日本が相当な努力をしてかなりレベルアップした、順位的には問題があるけれど……」というくらいの努力をすれば開催国特権として認められる可能性がなくはない。あんまり楽観してという気はないですけれど、それくらい強力なバックアップ強化を男子チームにはしていかないといけないと思っています。八村(塁)、渡邊(雄太)をはじめとした若手が日本代表チームをどう変えていくかに期待したいと思います。

――処分が解除されたということで、あらためてFIBAの方から何か今後についての注文が出されたり、意見が出されたりということはあったか?

川淵 こちらから頼んだところもあるのですが、「2年間推移を見守るよ」ということを、FIBAとバスケットボール協会との間でお互いに認め合ったということが一つあります。

大河 あとはJBAがいろいろな協議会の統括責任者であることを、新リーグと認識し合うということを言われています。もう一つは新リーグ、協会を合わせたところの安定した財政基盤を構築できるようなマーケティング戦略を導入しなさいということです。JBA、JPBL(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)に対して、マーケティング戦略をしっかりやりなさいということが、話の中で出ています。

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