迷いが消え、調子を上げた香川真司の1年 ドイツ杯決勝で敗れるも現地では高評価
動きの質が向上、効果的に攻撃に絡む
シーズン終盤になって調子を上げた香川。プレーが整理され、動きにつながりが出てきた 【写真:ロイター/アフロ】
今季うまくいっていない時の香川は、多くの場面でためらいが見られ、決断が遅くなってしまうという問題を抱えていた。何かをやらなければという思いを抱え込むばかりに、「自分が決定的なシーンを作り出す」ことばかりに意識がいき過ぎていたのかもしれない。しかしどんな状況からでもチャンスを生み出せるわけではない。相手チームの対応が良ければ、一発のプレーでは崩し切れない。迷いはシンプルに展開する瞬間を逃すことにつながり、結果攻撃への切り替えの場面で時間を使い過ぎてしまう場面が増えてしまう。ミスが増えると今度はシンプルにプレーすることばかりに気が行き、逆に勝負できるタイミングを逸してしまう悪循環にさいなまれる。
リーグ第28節ボルシア・メンヘングラードバッハ戦(1−3)後の『デアベステン』による個人戦評では「いろいろなところに顔を出したが、多くの場面で判断が遅過ぎ、決定的な場面ではリスクにチャレンジする勇気を欠いていた。スルーパスを狙える場面でも横パスを選択することが多く、危険なシーンになりそうな場面にブレーキを掛けてしまった。ゴール前で完全にフリーになりながら決められなかった50分のシーンが、その兆候をよく表していた」と厳しく指摘されていた。
それでもそこから調子を上げてきたのは喜ばしいプロセスと言えるだろう。第29節パーダーボルン戦(3−0)でゴールを挙げられたことも大きい。ゴールは間違いなく自信につながる。一つ一つのプレーが整理され、動きにつながりが出てきたことで、少しずつまた攻撃に効果的に絡めるようになってきた。そしてリーグ最終節のブレーメン戦(3−2)では1ゴール2アシストの活躍でチームの勝利に貢献。81分にミロシュ・ヨイッチと交代するときには、ファンから大きな拍手が贈られていた。
期待される主軸としての活躍
香川にはこれまで以上にチームの主軸としての活躍が期待されている 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
また守備でのクオリティーもさらに上げる必要がある。相手のパスコースを切るだけのポジショニングではなく、そこから相手に寄せてボールを奪う、あるいは相手がボールをコントロールしきれないようなプレスをかけられるようになるとチームにとってさらに重要な存在になるはずだ。
年齢的にもチーム内での立場的にも、香川にはこれまで以上にチームの主軸としての活躍が期待されている。自分のプレーだけではなく、試合の流れを読み、チームにリズムをもたらす存在へ。香川の新しいチャレンジが始まる。