苦しむドルトムントに訪れた安堵感 悲しみを過去のものに変えるのは勝ち点3
すべてを変えなければならなかった
3−0の勝利を収めたフライブルク戦で2得点の活躍を見せたオーバメヤン(右)と喜ぶ香川(中央) 【写真:ロイター/アフロ】
第20節フライブルク戦、ドルトムントは3−0で勝利をつかんだ。ついに自分たちのスタイルを再び見つけ出し、ファイトする姿勢も打ち出した。マルコ・ロイスとピエール・エメリク・オーバメヤンが得点し、ドルトムントは勝たねばならないプレッシャーを肩から下ろした。ようやく、勝利はやってきた。ついに最下位から脱出したのだ。ドルトムントの危機の大きさの分だけ、安堵(あんど)の気持ちは大きかった。とてつもないほどに。
新年に入り、すべてを変えなければならなかった。ドルトムントはスペインのラ・マンガで最高の環境の下、ブンデスリーガの後半戦への準備を進めていた。けがで長期の離脱をしていた選手も、少しずつチームに戻ってきた。マッツ・フンメルスや香川真司といったワールドカップで疲弊し、燃え尽きた選手もエネルギーを取り戻しつつあった。クラブの中で、彼らはポジティブな雰囲気のシンボルになろうともしていた。シーズン前半戦の悪夢はできるだけ早く忘れることだ。
今季残してきたクラブ最悪の成績
フライブルク戦で勝利を収めるまで、リーグ最下位に低迷していたドルトムント 【写真:ロイター/アフロ】
「判断力に問題がある。間違った判断を下すことが多いんだ。もっと勇敢にならなければいけない」
敗戦後、指揮官は怒りを隠せなかった。その口から出た言葉は、昨年10月と同じものだった。「シーズン残りのスタート地点」と、当時のクロップは語っていた。べストファーレン(ドルトムントのスタジアムがある地域)の暗い秋が、さらに苦い冬へと移り変わろうとしていた。寒い冬の終わりは、まだ見えていない。
喫した黒星は11、挙げたゴールは18。それがフライブルク戦に勝つまでのドルトムントが残した数字だった。ブンデスリーガにおける、このクラブの最悪の成績だ。「エヒテ・リーベ」。クラブが掲げた「本当の愛」というスローガンは、「真の絶望」へと形を変えた。そこには本当の気持ちがあふれていた。アウグスブルクに敗れた後のことだ。そこかしこに、ファンの恐怖が渦巻いていた。最も忠誠心厚いファンでさえ、魂の叫びを指笛に変えた。チームとサポーターは初めて、結束を失った。『南ドイツ新聞』はピッチ上の力ない屈強な男たちを、買い物袋さえ運べないマッチョマンと比較した。