プラス1キロ×1本で走りを劇的に変える!? 青山剛のランニングナビ

青山剛

「1キロ×1本」の全力走が効果絶大!

【青山剛】

 一方、ここまで順調だった(スピード練習に取り組めた)方は、ぜひプラスアルファしてほしいメニューがあります。それはメーンのスピード練習の後に「プラス1キロ×1本」のメニューを入れるのです。

 例えば、インターバル500m×10本(リカバリー200mのジョギング)を行った後、3分ぐらい軽くジョギングして、そのまま1キロを1本「ほぼ全力で」走るのです。はっきり言いますが、本当に苦しくきつくなります。その代わり、効果は絶大です。私が過去にパーソナル指導してきた方たちのデータから言えば、それまでほとんどスピード練習をやってこなかったランナーほど、この練習を行う度に5キロのタイムが「キロ3〜5秒ほど」アップする計算でした。

 ただでさえインターバルでヘトヘトになっているのに、その上で1キロを頑張る=追い込むことで、一気に心肺機能、耐乳酸能力などに刺激が入るのです。これこそ一般ランナーが一番足りない能力です。

タイムは気にせず、とにかく「追い込む」ことを意識

 取り入れ方の注意点ですが、全力といっても100m走のようにダッシュで突っ込むのではなく、1キロで全力を出し切れるように頑張ります。当然インターバルで疲労していますのでタイムはあまり気にせず、とにかく「追い込む」ことを意識しましょう。

 疲労している中でのスタートの分、スピードもあまり出ず、ケガのリスクも実は少ないので、多くて週に1回「覚悟を決めて」取り入れてみましょう。そして、月末頃には、ここまでのトレーニング経過を見るために「5キロのタイムトライアル」を行います。5キロのロードレースやイベントに参加することが一番ラクかもしれません。6月中に1〜2回ほど実施できればベストですね。

 なお、5キロのタイムトライアル方法は、過去の連載を参考にして下さい。

6月の週間トレーニングメニュー

【青山剛】

※平日×1日、週末2日の計3回練習を基本とした例

<平日>
-500m×10本 or 2分走×10本
→慣れてきたら1キロ走×5本も導入可

・走る前には、ストレッチ、体幹スイッチをしっかり行う
・ウォーミングアップは15分ジョギング+ウィンドスプリント100m×4〜6本
・5月にしっかり取り組めた方は、プラス1キロ×1本を入れる
・クーリングダウンも15分ジョギング、ストレッチをしっかり行う

<週末>
土曜
-ジョギング60分前後+ウィンドスプリント100m×6〜8本
・ストレッチ、体幹スイッチは平日同様

日曜
-5キロペース走 or 疲れていればジョギング60分前後
・5キロペース走は「ハーフマラソンペース」くらいのちょっときついペースで=5キロの目標ペース+キロ15秒遅いくらいで 
・ストレッチ、体幹スイッチは平日同様
・月末には5キロペース走を「5キロタイムトライアル」に変える
・ウォーミングアップ、クーリングダウンも平日同様

 本格的な夏が始まってしまうと、このようなメニューを実施するのが困難となります。暑くなる前に「スピード貯金」をしておきましょう!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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