ボルシアMGにあるはっきりとした哲学 歴史あるクラブがCL出場を決めた背景

目覚ましい発展を見せるこの数年

ボルシアMGは3位以上でシーズンを終えることを確定させ、CL本戦への出場権を獲得した 【写真:ロイター/アフロ】

 通常スポーツナビのコラムを執筆するにあたり、われわれ独自の意見に加えて、ドイツ中の記者に彼らが追っているクラブについて語ってもらう。だが今回は、その必要はなかった。編集部から提示されたテーマであるボルシア・メンヘングラードバッハ(MG)は、当コラムの筆者であるダビド・ニーンハウスが『ヴェストドイチェ・アルゲマイネ・ツァイトゥング』(WAZ)のオンライン版の担当記者として、この3年間追い続けているクラブであるからだ。

 見届けてきた時期も含めて、この数年のクラブの発展は目覚ましいものだった。ほぼ2部リーグ降格が決まりかけながら、驚きの逆襲を見せ続けてきたのだ。

 メンヘングラードバッハではこの数日、リーグ戦の“タイトル獲得”を祝っている。正しくは、タイトル獲得「のようなもの」と付けなければならないものではある。このフレーズは、シーズン終了を前にしてスポーツディレクター(SD)のマックス・エバールが使うものだ。普段は慎み深い物言いをするエバールSDは、こう語る。「チャンピオンズリーグ(CL)出場は、タイトル獲得にも並ぶものだ」と。

輝かしい歴史となった70年代

 彼のクラブは、欧州のエリートが集う舞台へと上ることに成功した。ついにボルシアMGは、1970年代に自らをレジェンドの位置へと高めたステージへと戻ったのだ。当時のフォーレンエルフ(子馬のイレブンという意味の愛称)は、次々とタイトルをかき集めた。ギュンター・ネッツァーやベルティ・フォクツ、ユップ・ハインケスといった世界にスターとして名立たる代表選手たちを擁し、バイエルン・ミュンヘンと覇を競い合っていた。監督にもヘネス・バイスバイラーやウド・ラテックといったレジェンドが就き、彼らの強さを知らしめた。ボルシアMGは、神話の世界を生きていた。彼らが語るサッカーは最高級の緻密さを備え、若く独特で、成功に満ちていた。

 そんな時代は、遠く昔に過ぎ去った。

 ノルトライン=ヴェストファーレン州に拠を置くクラブはこの数十年、厳しい時期を過ごしてきた。監督やディレクターが、やって来ては去って行った。80年代には中位以上に落ち着いていたが、近年争うのはタイトルどころか残留ばかりになっていた。

 時には復活の兆しを示すこともあったが、あくまで短期的なものに過ぎず、継続性など存在しなかった。99年と07年には、ブンデスリーガ2部降格という苦難の道を歩まなければならなかった。大いなる伝統を誇るクラブが、間違った道を進んでいたのだ。彼らの聖地と呼べるスタジアム、ベケルベルク(以前のボルシアMGのホームスタジアム)はもはや力を失っていた。新たな力を与えたのは、ボルシア・パルクだ。この新スタジアムで、04年以降のクラブはチケット販売により収入を増やしていくことになる。

 だが、成功というのは計算するのが難しいものだ。新スタジアムができて3年後に降格しているという事実が、何よりの証拠と言える。1部と2部の狭間をさまよったクラブは存続の基盤を確保するため、マルコ・マリン(現在はチェルシーからアンデルレヒトへ期限付き移籍)らタレントの売却を余儀なくされた。

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著者プロフィール

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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