対照的なヘルタ・ベルリンの2人 苦しむ細貝と試合に出続ける原口の未来
大きく変貌を遂げたヘルタ
ダルダイ監督になってから、細貝はポジション争いの4番手という位置づけになっている 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
われわれが前回のコラムを執筆した時、“老貴婦人”(ヘルタの愛称)は14位につけていた。あれから冬を越した今、クラブは残留争いを脱しきれていない。シーズン初めからチームを率いていたヨス・ルフカイ監督の肩書には「元」という文字が付け加えられた。後を継いだのは、元ヘルタのプレーヤーであり、ハンガリー代表の監督も務めたパル・ダルダイである。ヘルタが本拠を置く、ベルリンのシャルロッテンベルク/ヴィルメルスドルフのボスは、彼になったというわけだ。そのクラブはシーズン終了が近づく今、安全な状況にあるとは言いがたい。
ダルダイがチームを預かった時、全員が競争をゼロからスタートさせた。ルフカイの下、細貝はキープレーヤーとなっていた。だが現在では、何の役割も与えられていない。『ベルリン・モルゲンポスト』のヨルン・マインは、その理由を心得ている。「監督はファビアン・ルステンベルガーを守備的MFの位置でプレーさせることを心に決めたんだ」。ルフカイはこのキャプテンを、センターバックとして起用していた。だがダルダイは、彼のことを最高のMFとみなしている。最終ラインの前のポジションは、このスイス人選手のものとなった。ルステンベルガーの次に新監督が信頼を寄せるのは、よりクリエイティブな守備的MFだ。それがペア・シリアン・シェルブレットであり、ペーテル・ニーメイアーとなっている。
細貝はルステンベルガー同様に攻撃面では見劣りするものの、ニーメイアーよりは上である。だが、誰も攻撃に厚みを出す存在ではないというのが実際のところだ。そう評決を下すのは、『キッカー』誌のアンドレアス・フンジンガーだ。細貝は自身のポジションの素晴らしいマスターではあるが、今は結局4番手という位置づけになっている。
こうした降格は、スポーツ的な理由によるものだ。だが、それだけがすべてではない、というのも事実だ。細貝が「よろしくない言葉」を使うのを、『ビルト』のマルテ・アキレスは目にしたという。指揮官は、こうした態度がまったく好きではない。細貝はルフカイの下で働き過ぎてしまい、昨季の素晴らしいパフォーマンスを取り戻せていない。そんな自分に、いら立ってしまっているのかもしれない。
コンディション不良やけがで評価を得られない細貝
若き日本人がドイツにやって来た時、面倒を見たのが細貝だった。「ピッチ内外で、細貝は原口のガールフレンドのように献身的だった」とマインは言う。「おかげで、自分のことへの集中が乱れてしまった。新顔の面倒を見ると同時に、自分自身のことがおろそかになってしまったんだ」とアキレスは続けた。
この意見に細貝は同意しないだろう。一方で、自身が危機に陥っていることは理解している。もっと練習して良くなれば、動きを見て分かるだろうと指揮官が話したまさにその頃、負傷してしまったのだ。だからこそ、いまだに離脱したままでいる。
脚に負った負傷は、なかなか回復しなかった。クラブドクターのウルリッヒ・シュライヒャーは回復を早めようとしているが、「コンディションを取り戻しても、チームに居場所はないだろう」というのが『ビルト』誌の記者の意見だ。細貝が「今季再び役割を与えられることはない」と、彼は考えている。