週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#26】貴重な打てる捕手!NTT東日本・野口泰司 東京ガス・中尾勇介は小柄もパンチ力抜群

西尾典文
 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 ドラフト会議当日までいよいよあと3週間。今回は目玉が不在と言われる社会人の中で、高い評価となる可能性がある2人の野手を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)

*現時点のレベルバロメーター:★の数
★★★★★ 5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆ 4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆ 3:上位指名(2位以上)の可能性あり
★★☆☆☆ 2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆ 1:育成であれば指名濃厚

「貴重な打てる捕手!社会人で攻守ともに大きく成長」

打てるキャッチャーとして期待がかかるNTT東日本の野口泰司 【写真提供:西尾典文】

野口泰司(NTT東日本 23歳 捕手 180cm/94kg 右投/右打)

【将来像】木下拓哉(中日)

速くて正確なスローイングと長打力を備えた打撃は木下とイメージが近い

【指名オススメ球団】西武
レギュラーの古賀に次ぐ捕手の補強と打線強化の両方を狙える選手として

【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 プロでは年々打てるキャッチャーが少なくなっているが、今年のドラフト候補の中で最もそうなれる可能性を秘めた選手と言えばNTT東日本の野口泰司になるだろう。栄徳高時代から愛知県内では有名な捕手で、名城大でも下級生の頃から正捕手として活躍。4年時には春の大学選手権、秋の明治神宮大会でいずれもホームランを放ち、大学日本代表にも選ばれたが、守備面での不安が評価を下げてドラフトでは指名がなく、社会人に進むこととなった。NTT東日本でも1年目から持ち味である打撃では存在感を示していたものの、指名打者での出場が多く、なかなか捕手として出場する試合を見る機会はなかった。

 そんな野口の印象が一変したのが今年5月に行われた都市対抗予選、対JR東日本戦だった。まず驚かされたのがスローイングの時の動きだ。大学時代も肩の強さは見せていたが、当時よりも明らかに捕球してから送球するまでの動きがスムーズになっていたのだ。上半身が左右に振られる動きがなくなり、それでいながらも強いボールを投げられ、2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球では1.8秒台を5度マーク。動きが速くなるとボールの勢いやコントロールが落ちることも多いが、野口の場合は速く動きながらも正確に強いボールを投げることができていた。成長したのはスローイングだけではない。キャッチングもしっかりとミットを止める意識が強くなり、またワンバウンドのボールに対しても足を使って正面に入ってしっかりブロックするなど、守備面全般においてレベルアップを見せていた。相手のJR東日本は足を使える選手が多いチームだが、野口の守備が大きな抑止力となっていたことは間違いないだろう。元々の持ち味であるバッティングについても第1打席でいきなりセンターの左へ運ぶ先制のタイムリーツーベースを放って見せた。この試合でのヒットは1本だったが、都市対抗予選の3試合で11打数5安打、長打3本で4打点と4番としての役割をしっかり果たしている。

 都市対抗の本選では初戦で北海道ガスに敗れたものの、ツーベースを含むヒット2本を放つなどその持ち味は十分に発揮している。ここまで高いレベルでバッティングと守備を備えたキャッチャーはなかなかおらず、社会人に進んでからの成長も大きな評価ポイントだ。冒頭でも書いたように打てる捕手は年々貴重になっているだけに、2年越しとなるプロ入りを果たす可能性も高いだろう。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント