岡田武史氏「日本人に合った型を作る」 FC今治新体制発表会

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FC今治の新体制発表会見に臨んだ岡田オーナー(右から2人目)。プロジェクトの壮大なビジョンを語った 【スポーツナビ】

 四国リーグに所属するFC今治の「リスタートカンファレンス」が23日、愛媛県今治市内で行われ、今季からオーナーとなった元日本代表監督の岡田武史氏が自らマイクを手にしながら、50分間に渡ってクラブのビジョンや新体制について熱弁をふるった。

 今回のオーナー就任について岡田氏は、日本のサッカーには共通認識としての「型」がないことから、「日本人に合った世界に通用する『岡田メソッド』というものを作ろう」と決断。育成年代からトップチームまで、共通したメソッドを実践するチームとして「10年かかるかもしれないけれどイチからできるチーム」ということで、現在四国リーグに所属するFC今治に白羽の矢を立てた。クラブオーナーの仕事について「僕は経営者のセミナーとかやっていたんですけれど、やってみたらこんなに大変だったんだというのが正直なところ」と苦笑しながらも、「この年齢になってもワクワクできるのはありがたいこと」と実感を込めて語る岡田氏。10年スパンの壮大なプロジェクトは、4月の四国リーグ開幕からスタートする。

 以下は、新体制発表会の要旨。

始まりはW杯ブラジル大会

 このたびはFC今治のリスタートカンファレンスにお集まりいただき、本当にありがとうございます。今治は空港もなく遠いところですが、たくさんの人たちに来ていただいて感謝しております。今日はわれわれの新体制、それ以上に、私が今回のプロジェクトを始めた思いというものについて、「なんで今治なんだ」「なんで監督ではなくてオーナーなんだ」とよく聞かれるのですが、そういうところも含めてお話させていただきたいと思います。

 事の始まりは昨年ブラジルで行われたワールドカップ(W杯)でした。あのあとサッカー仲間の間で、日本のサッカーはどうあるべきか、いろいろな議論をしていました。そんな時に、あるスペイン人のコーチと話していたときに「スペインにはプレーモデルと呼ばれるサッカーの型があるが、日本にはないのか」と聞かれたんです。サッカーというのは、僕が選手のときには「蹴っとけ!」みたいな型にはめるのではなく、自由な発想や個人の判断が大切だ、ということで「考えさせる指導」というのがはやっていた。それもあって日本のサッカーは急激に進歩していきました。ところがその上を行っているスペインに型がある。でも彼らの言っている型というのは、よく聞いてみると「型にはめる」型ではなく「共通認識」なんだと。

 たとえば、味方がボールを持っていて、相手にプレッシャーをかけられたとき、まずファーストエリア、一番近いエリアにいる選手は何をするべきか。セカンドエリアにいる味方はどう動くべきか。サードエリアにいる味方は……という共通認識のような型を(彼らが)持っていることが分かりました。型があるからそれを破って、驚くような発想ができるのではないか。自由なところから自由なものって、なかなか出ないのではないか。そういう思いから、私はこのたび、日本人に合った世界に通用する「岡田メソッド」というものを作ろうと決めました。

トップから育成まで同じ哲学、プレースタイル

 そして、その型をどこでやろうかと考えたんです。同じ型を使ってトップから育成まで同じ哲学、同じプレースタイルで作ってみたい。それをどこでやるか。正直、Jのチームで声をかけていただいたところもありました。でも今でき上がっているチームだと、一度つぶさなければならない。そのエネルギーを考えるなら、10年かかるかもしれないけれど、イチからできるチーム。そして思いついたのが、FC今治でした。FC今治の前オーナーは私の知人で、以前から少し関与しておりました。そういうこともあって、「よし、ここでやろう」と。それで今治でやると決めてから、妄想というと失礼ですが、自分の想像がいろいろな方面で出てきて、「FC今治だけが強くなったって、面白くないな」と。

 地元の少年団、あるいは地元の中学や高校のサッカー部も巻き込んで、ひとつのピラミッドを作る。そしてコーチを派遣したり講習会を開いたり、いろいろな形でピラミッドを作っていく。そしてその頂点に立つFC今治のトップチームが、面白いサッカーをして強くなっていく。どうなるでしょうか。おそらく全国から、まだまだ日本のサッカーはリスペクトされているので、アジアから育成に入りたいという若者、あるいは岡田メソッドを勉強したいという指導者が集まってくる。そうして集まってきた人たちを、おじいちゃん、おばあちゃんしかいなくなったところにホームステイさせる。おじいちゃん、おばあちゃんが「スポーツマンの食事をどうすればいいか」と料理教室に行く、または英会話を勉強し始めたり。気がついたら、この(人口)17万人の今治が、妙にコスモポリタンで活気がある、そんな街にならないかなと。そういう妙な夢が湧いてきました。

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