岡田武史氏「日本人に合った型を作る」 FC今治新体制発表会

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またばかなことを始めた

囲み取材に応じる岡田オーナー。58歳での挑戦に「またばかなことを始めた」と笑った 【スポーツナビ】

 以下は、岡田オーナーの囲み取材。

──今日の感想は?

 自分でここまでできたらMCでも食っていけるなと思いました(笑)。でもありがたいことに、今治の四国リーグのチームに対して、これだけの皆さんに関心を持ってもらえたのは本当にうれしいと思います。これも(スポンサーの)LDHはじめいろいろな人たちのおかげだと感謝しています。

──今回のプロジェクトの原点は?

 正直ブラジルW杯がきっかけですけれど、W杯が終わるたびに僕ら指導者はいろいろなところで喧々諤々(けんけんごうごう)と議論する中で、また同じことを言っている自分に気がつく。決定力がないとか、もう何年も釜本(邦茂)さん(のようなストライカー)が出てこないとか。GKと1対1であとは決めるだけという状態で決められないなら、2対1、3対1という状況を作ろうよとか。そんな話をしている中で「型」というポイントが出てきて、正直考えながら走っています。ゆっくり準備しているわけではないのにここまでできたというのは、多くの集まってきてくれた人、賛同してくれた企業や人たちのおかげだと思っています。

──どんなクラブにしたいのか?

 中期計画を出しているんですけど、途中を省いて言うと10年後に(総予算が)25億円規模のクラブになって、J1で優勝争いして、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)で優勝争いするチームになりたい。そして代表チームに4〜5人の選手を派遣するようなクラブになりたい。育成から上がってきた選手たちがどんどん活躍するようなクラブを目指しています。

──それは実現可能だと考えるか?

 はい。不可能だと思っていたら、こんなことをしていません(笑)。

──愛媛や今治の地域活性についてどう考えるか?

 皆さんもご存じのように、少子高齢化、グローバル化による一極集中で、地方都市のJリーグクラブというのは縮小傾向のスパイラルに入らざるをえない。そんな中で新しいビジネスモデルを提示して、地方のJリーグチームが生き残っていけるというのを掲げていきたい。それがひいては地域創生につながっていくと思っています。つまり外から人、物、お金というものが入ってくる仕組みというものを、今いろいろな企業さんとタイアップして考えています。

──58歳でゼロからの挑戦となるが。

 冷静に考えれば、またばかなことを始めたなと。うちの家内はあきれていますけれど。のんびり暮らすと約束していたのに、またこんなところに来てしまいました。でも58にしてまだこうしてワクワクさせてもらえるのは本当にありがたいことですし、チャレンジできるということは幸せなことだと思っています。

日本代表の監督は絶対にない

──日本代表の監督になってほしいという声もあるが。

 FC今治以外の質問はなしって話だったと思うけれど(笑)。日本代表の監督は絶対にないです。たまたま(アギーレ解任の)ニュースをテレビで観ていました。横で家内が独り言のように「うちは関係ない、関係ない」とつぶやいていました(笑)。それが現状ですから。

──今治に何度も足を運んでいると思うが率直な感想と、この地域をどういった形で活性化させていきたいと考えるか?

 98年からこちらの会社の役員をやっていて、当時は市役所の横に大丸があって、今治デパートがあって、そこはみんな今は更地になっています。商店街もシャッターが閉まっている。その現状をずっと見てきています。そういう中で、このままどんどん縮小していくのかなと。寂しい気持ちがありました。その中で僕が考えたのは、スポーツというものがそういうきっかけを作っていくツールになるんじゃないかと。(FC今治をサポートする)EXILEにしても、松山でダンススクールをやっていますけれどものすごい人気ですし、今度ダンスが体育の教科に入ります。ダンスもスポーツだと考えると、いろいろなスポーツ、僕はサッカーだけだと考えていないです。スタジアムに作った今治ラボに、いろいろなスポーツの選手がやってくる、いろいろなスポーツの力で町おこしというか地方創生というのができるんじゃないか。そういうふうに考えてやっています。

──10年後のビジョンは?

 先ほども言いましたが8年後にスタジアムを作るというのは、単にサッカーの試合をするためだけでなくて、欧州はどこに行ってもチームが優勝したときに集まるドウモ広場だったり市庁舎広場だったりがある。日本にはそういう広場がない。地域住民が集う、コミュニケーションする場がない。そういう場というのは、昔は寺社仏閣ですけれど、街が大きくなったときにそれが耐え切れなくなっている。僕はそういう場を作りたい。サッカーの試合をやる、そこで祭りをやる。祭りというのはイベントというだけでなくて、みんなが半年後の祭りのために企画を出しあったり準備したり練習したり、そういうコミュニケーションのためのツールだと思っています。そういう祭りの場を作って、そこでEXILEのコンサートをやったり。いろいろなスポーツの力で人を集めてくるきっかけですよね。やったことがないことですから、自分の夢みたいなものを語っていますけれど、これだけ多くの人たちが夢に付いてきてくれているのは、可能性がきっとあるからだと信じていますし、逆にものすごく責任を感じています。

オーナーがこんなに大変だとは

──岡田メソッドで地域全体がサッカーで活気づくようにしたいということだが、応援する側はどう見ていけばいいのか?

 全部の高校を僕は回りました。そして地域の少年団の指導者たちも、僕は行けませんでしたけれど吉武が懇親の場をもって、今うちは育成のチームを持っていますけれど、段階的に3年後にはチームをなくします。スクールだけをして試合は少年団でやると。そして指導者の派遣や講習会とかそういう対応にすると。うちで練習はやりますが、試合は各チームでやる。そしてそういう試合環境を整えるということをやる。中学高校に関しても、選手の取り合いとかではなくお互いが強くなるためにディスカッションしていく。場所は言えませんけれど、僕は広い家を借りることになっていて、そこのリビングをカフェにして、サッカー仲間が夜な夜な集まってサッカー談義ができる場所。高校の先生、少年団の指導者、みんなが来てビデオを見たり、いろいろな談義をしたりできる場にしていきたい。交流を図ってひとつのピラミッドにしていきたいと思います。

──愛媛県には愛媛FCがあるが、人口140万を切るような県で、将来的にJのクラブが2つ共存できると思うか?

 僕も最初にその質問を受けてはたと気がついたんです。2つあるのかと。でも僕の頭の中には、地元の今治を大切にしますけれど、僕のスポンサーやサポーターは外から、全国やアジア全域というイメージです。ですから愛媛FCさんとスポンサーの取り合いをするつもりはまったくないですから。愛媛FCさんは早くJ1に上がっていただいて待っていてくださいと。そして10年後には愛媛でダービーしましょうと、純粋にそういう気持ちで知事ともお話しています。

──オーナーとなって3カ月たつが、楽しさや辛さはどうか?

 めっちゃめちゃ大変(苦笑)。こんなに大変だと思わなかった。時間がどれだけあっても足りない。代表監督のプレッシャーというのは短期間でどっとくるんですが、オーナーのプレッシャーというのはじわじわとね。「そうか、ボーナスを出さないといけないのか。資金繰りが間に合わないな」とかね。そういうありとあらゆることを考えないといけない。僕は経営者のセミナーとかやっていたんですけれど、やってみたらこんなに大変だったんだ、偉そうなことを言っていたなというのが正直な実感ですね。

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