川淵チェアマンが新リーグの構想を提言 bj、NBL代表者会議で訴えた全言葉
バスケ界の改革に向け、川淵チェアマンが持論を語った 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
当初、両リーグ代表者会議共に冒頭のみが報道陣に公開される予定であった。しかし、川淵チェアマンが会議内で「マスメディアの重要性」を強く唱えたことにより急きょ開放されることが決定。今後、タスクフォースで協議される内容の素案となる川淵チェアマンの意見がすべて公開されることとなった。
川淵チェアマンが各リーグの代表者に対して「こんな感じでいければ」と話し出した新プロリーグの構想は、4月には新しい社団法人を設立、10月から新リーグの名称を使用する、2016−17シーズンに新リーグを開幕、1部・2部・地域リーグのようなピラミッド型で各階層を設ける、各チームがホームアリーナで8割の試合を消化する、ホームアリーナは収容人数を最低でも5000人を目指すなどかなり具体的なもので多岐にわたる内容。構想の発表は各リーグの代表者からの質問に答えた時間も含め計2時間に渡る熱弁となったが、「川淵チェアマンが考える新リーグ形式」→「bjリーグ代表者会議での発言」→「NBLリーグ代表者会議での発言」の順番で余すことなく紹介させていただく。
新リーグ構想(1):アリーナについて
今日は僕が(新リーグは)こんな感じでいければいいなと思っている形をお話させていただきます。最終的には現状を調べた上で、3月4日に2回目のタスクフォースの会議がある。その時に皆さんの現状と合わせて、選考の基準を決めます。そこからさらに最終的なチームを決める形でいきたいと思います。
(bjリーグの)24チームと、NBLの13チーム合計37チームがひとつのリーグで戦うことは絶対にありません。それで日本のバスケットボールが発展するとはとても思えないし、多くのお客さんが来るとは思えない。その中でどういう展望を持ったチームを選んでいくのかというのは、現状を見た上で最終的な数を決めていこうと思います。僕なりに資料を見ていますが、クラブ収入は7、8000万円から4億円ぐらいまでばらつきがあります。現状の資産や観客動員を基準にしては選びません。
僕が求めるのはアリーナなんです。プロバスケットボールが成功するか否かのすべてがアリーナにあると僕は思っています。アリーナを地方協会とどのように話し合って優先使用を認めてもらえるか。使用料を免除してもらうのか。将来に向けて、アリーナを何千人収容できるようにしてもらえるのか。一番大事なのは、行政サイドの首長の支持を得ること。各地方の協会、体協(日本体育協会)、バスケットボール協会の支援が要ります。そして商工会議所、青年会議所を含めてみんなで応援してもらう。その上に立って、市民やサポーターが全面的に支援する形になって、初めて長い目で見てプロバスケットボールが成長していくんです。
企業チームのあり方は別途考えていきますけれど、皆さんの立場はそういった関係をどうやって強力なものにしていくのかがすべてです。あえて皆さんに言いますが、こんなチャンスは二度とありません。皆さんはきっかけを与えられたんです。チャンスというのは、行政と話し合うチャンス、地元と話し合うチャンスです。そうしないと、トップリーグで活躍することはできません。市が、行政が、商工会議所や青年会議所が我々のクラブを地域の活性化のために魅力ある存在として認めてもらわないとプロクラブとして成長できないんです。それを話すことができるチャンスを皆さんは持ったということです。それを利用しない手はない。
僕が最初にどう考えたかというと、日本の体育館で3000人以上が入って物販ができる体育館がいくつあるのか。約80カ所のアリーナを調べると21カ所程度しかなかった。21カ所では大変だな、しかも収容人数が3000人から多くて5000人。そんな中でプロとしてやっていけるのか。スポンサーが付き、多くの人に見てもらうためには、アリーナが多くの人や歓声に満ち溢れて、テレビを見た人が自分も行きたいと思わないと、プロバスケットボールは成功しない。
僕も先日試合を見に行きました。けっこう面白くて、これはいけるなと思いました。しかし、お客さんは目算で600人足らず。こんな良い試合を5000人が見たらどうなるか。また見たいと思うだろうなと思いました。みんなが見やすい場所に(会場が)あれば、このアリーナ(の雰囲気)で十分にやっていけるなというのが率直な感想です。皆さんは自分たちの力で行政サイドと話し合い、何年先にどうしてほしいのかを示す。行政サイドは申請などで時間がかかるんだけれども、そういうことに対する言質(げんち)を得ることで、基準を突破して(トップリーグの)資格を得るのだと思います。