ベンチ入りすら果たせなかった川島永嗣 指揮官が明言した復活への糸口
ふがいない今季のスタンダール
不調が続く川島は、ELのセビージャ戦でメンバー入りすらできなかった 【写真:アフロ】
あれから4日経ち、スタンダールはUEFAヨーロッパリーグ(EL)のセビージャ戦を迎えた。すでにガイ・ルゾン監督は辞任し、イバン・ブコマノビッチコーチが暫定監督に昇格した。
セビージャ戦のスタッド・モーリス・デュフラン(スタンダールのホームスタジアム)の入りは半分ほどという寂しいものだった。ゴール裏のサポーターは弾幕を逆さにしてクラブへの抗議を表したり、ユニホームを着させた紙人形を何体も並べて無言の批判を首脳陣に送ったりした。それでもルゾン監督の辞任という当座の目標は達成したので観客席に荒れた雰囲気は無かったが、積極的にチームを応援しようとする雰囲気も無かった。
昨季のEL王者相手に互角の戦い
ルゾン監督体制の以前から、2人のセントラルMFが持ち場を同時に離れてしまったり、センターバック2人が一つのボールを追いかけてぶつかってしまったり、闇雲に前線からプレスをかけて相手にスペースを与えたりと、スタンダールには場当たり的なプレーが多かった。だが、セビージャ戦のスタンダールには秩序とコミュニケーションがあった。選手たちは近くにいるポジションの選手たちと合図や目配せを繰り返し、最適なポジションをとるように意識し、ビルドアップもボールの奪い所もハッキリした。
しかも、スタンダールは、昨季のEL王者相手に幾度か決定機を作った。キックオフの頃は冷めた雰囲気だったスタジアムに、少しずつ熱が帯び始め、44分に「トゥサンザンブレ(みんな一緒に)、トゥサンザンブレ、エイエイ!」「アレ! スタンダール、アレ!」というおなじみのチャントが歌われ、0−0で試合が終わった後は選手たちにスタンディングオベーションが贈られた。そしてクリーンシートを記録したGKヨアン・テュラム=ウリアンにヨス・ベックスGKコーチが近付いて固い握手を交わした。
気にかかる川島の動向
これだけ短期間で大きなミスが続いただけに、川島からテュラムへの正GK交代は避けられない事態となった。試合前日記者会見でブコマノビッチ監督は、「セビージャ戦はテュラムがゴールを守る。これは1試合だけのことではなく、もっと長い期間の話だ」と明言。その後、クラブが発表した招集メンバーに川島の名前は無く、ギョーム・ウベールが控えGKとしてベンチ入りすることになった。
セビージャ戦のテュラムは10分、ホセ・アントニオ・レジェスのミドルシュートに対して少し安定を欠いたが、その後はまずまず落ち着いたプレーを見せた。セビージャ相手に零封と結果も残したのだから、スタンダールにとってはテュラムを替える理由は無い。GKは頻繁にレギュラーを替える訳にはいかないポジションだけに、川島にとっては厳しい状況が続くだろう。
それでも川島がベンチ入りすら果たせなかったことは気にかかる。今、川島はスタンダールの中で“第3GK”という序列なのだろうか? 「それは違う」とブコマノビッチ監督は言う。
「永嗣は偉大なチャンピオン。サッカー選手には良いときもあれば、良くないときもある。最近の永嗣は、良くない時期を過ごしている。しかし、昨季の永嗣は素晴らしかったし、今季序盤のプレーも良かった。今日、スタンダールがELを戦えたのは、永嗣が予選プレーオフで活躍したからだ。だけど今、永嗣には休んでメンタルを回復することが必要だ。私とテクニカルスタッフは話し合って正GKを替えることを決め、さらに永嗣も交えて話し合った。いい話し合いだったと思う。まず永嗣はメンタルを通常に戻さないといけない。今日は休ませるため家にいたが、今度のアンデルレヒト戦では再びベンチ入りすることになるだろう」
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